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八条学園騒動記

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第七百六十二話 餓鬼とはその十二

「不平不満ばかりです」
「餓えて渇いて」
「その中で、です」
「不平不満ばかりなの」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「自分のことしかです」
「考えていないの」
「はい」
「性根は変わっていないのね」
「身体が人間だった時もです」
 その頃のことをだ、セーラは暗い顔で話した。
「誰が何をしても言っても」
「変わらなかったのね」
「悪いままで餓鬼のままで」
 その状況でというのだ。
「全くです」
「変わらなかったのね」
「そうでした」
「そうなのね」
「そして今も変わらず」
「同じことなのね」
「はい、そして」
 そうした有様でというのだ。
「不平不満ばかりです」
「あの、その人何で生きてるのよ」
 ジャッキーは心からわからないといった顔で言った、それはもう全く何もわからないといった顔だった。
「一体」
「理解出来ないですか」
「不平不満ばかりでね」
「不平不満よりもだ」
 テンボも言った。
「いい、幸せとな」
「思う方がいいわよね」
「人生はな」
「そうよね」
「どんなことでもな」
 それこそというだ。
「いいとな」
「思えば勝ちでね」
「何かしてもらうとな」
「感謝してね」
「よかった、助かったとな」
 その様にというのだ。
「思うな」
「本を貸してもらってもね」
「面白かった、ためになった」
「そう思うといいわね」
「そもそも人の部屋に勝手に入って本を漁るならな」
「即刻叩き出すしね」
「家族でないならな」
 それならというのだ。
「何やってるんだってな」
「なるわね」
「もっと言えば家族でもな」
「勝手に入るなよね」
「プライベートの場所だからな」
「そこに勝手に入ってね」
「本を漁るならな」
 それこそというのだ。
「ふざけるなだ」
「尚それを五十位でしていまして」
 セーラはそうしたことをしたことも話した、そのことを聞いた瞬間そこにいる誰もが引いた顔になった。
「大学生の甥御さんが怒りました」
「いや、五十でか」
「そんなことしたの」 
 テンボとジャッキーは思わず声に出して言った。
「いい歳して」
「そんなことするか」
「あたし達だってしないわよ」
「五十でそんな常識もなかったのか」
「そうでした」
「いや、本当に駄目過ぎるな」
「何でそれで自分が偉いって思えるのよ」
 二人は感情的になって言った。
「自分を振り返りなさいよ」
「ガキ親父だろうが」
「奥さんに逃げられて」
 そうなってというのだ。
「さらにです」
「悪くなってか」
「そこまで堕ちたの」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうでした、そして今のお姿ですが」
「観られるのか」
「そうなの」
「こちらに」
 こう言って一枚の写真を出した、そこに映っている姿を見て誰もが息を飲むことになるのであった。


餓鬼とは   完


                  2024・5・2 
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