八条学園騒動記
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第七百六十二話 餓鬼とはその十
「それじゃあね」
「何の為に読むんだ」
「あれこれ批評しまして」
その本をというのだ。
「それで自分は偉いとです」
「思う為か」
「それで読んでいたの」
「ですから本を借りましても」
そうしてもというのだ。
「全くです」
「得るものはなかったか」
「そうだったのね」
「はい」
まさにというのだ。
「お礼も言わす」
「課してくれた人にか」
「恩知らずっていうけれどその通りね」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「その本を偉そうに貸してくれた人に批評してばかりでした」
「俺だったら二度と貸さないな」
テンボは怒った目で言った。
「貸すことにケチは言わないが」
「それでもですね」
「図々しい奴は嫌いだしな」
「しかも偉そうに批評を言うなら」
「お前が買ってだ」
そうしてというのだ。
「勝手に読め」
「そうなりますね」
「まして人の部屋に勝手に入ってな」
「それで漁るならね」
ジャッキーも言った。
「ふざけるなよ」
「全くだな」
「そうよ、ただね」
ジャッキーは首を傾げさせつつまた言った。
「本を読んでも何も得られない人いるのね」
「そうだな」
テンボも頷いた、二人も読書で彼等なりに得るものは得ているのだ。
「それで批評する為に読むとな」
「得られないのね」
「そうです、読書もです」
こちらもというのだ。
「読み方次第です」
「ふんぞり返って批評するならか」
「得られないのね」
「批評、文句を言いますと」
セーラはそうした行為の話もした。
「それで自分が偉いと錯覚します」
「そうなのか?」
「わからないわね」
テンボとジャッキーにはわからないことでこう言った。
「批評してどうなの?」
「しかもどうせいちゃもんだろ」
「そんなこと言って偉く思えるの?」
「訳がわからないが」
「お二人はそう思われてもです」
それでもとだ、セーラは話した。
「世の中残念ながら」
「批評をしてか」
「偉いって錯覚する人もいるの」
「本を読んでもあれこれ文句を付けて」
「偉いって錯覚するのね」
「そうなのです」
二人に残念そうな声で答えた。
「間違っても学び楽しむ為ではありません」
「自分が偉いと思う為か」
「その本を批評して」
「人やものに上から目線で言えば」
そうすればというのだ。
「自然と自分をです」
「偉いと思えるか」
「そうなのね」
「そういうものなので」
だからだというのだ。
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