八条学園騒動記

「言われるし、だからおトイレもね」
「奇麗にする様に言われますね」
「ええ」
　実際にというのだ。
「連合はね」
「そうしたお国柄ですね」
「それでね」
　そうであってというのだ。
「心もね」
「奇麗であれとですね」
「言われるし。だから」
「浅ましいというのは奇麗ではないですね」
「どう考えてもね」
「それで、ですね」
「餓鬼は嫌われて」
　連合ではというのだ。
「かなりね」
「否定されていますね」
「浅ましくて卑しくて」
　そうした性根でというのだ。
「不愉快な」
「それが餓鬼ですね」
「その様にね」
　まさにというのだ。
「思われているわね」
「左様ですね」
「地獄は悪事を重ねていて堕ちるけれど」　
　それでもというのだ。
「餓鬼は浅ましくて卑しい」
「そうであってなるので」
「穢れと思われて」
「地獄よりもですね」
「餓鬼道は思われるのかしらね」
「実際下手な悪人よりもだ」
　ダンは忌々し気に話した。
「今話している人は嫌に思えるな」
「そうよね」
　エイミーはダンのその言葉に同意して頷いた、そうして彼に顔を向けてそのうえでさらに言うのだった。
「お話聞くだけで嫌になる」
「どうにもならない人だってな」
「地獄に堕ちる人でもね」
　そうした輩でもというのだ。
「いいこともするでしょ」
「何かしらな」
「ほら、あれよ」
　エイミーは言った。
「蜘蛛の糸の」
「芥川龍之介だったな」
「日本の作家のね」
「あの人の代表作の一つだったな」
「カンダタだった？」
「何かのゲームの悪役にもなっていたな」
「盗賊でね、そのカンダタもね」
　彼もというのだ。
「いいことしてたでしょ」
「蜘蛛を助けていたな」
「地獄に堕ちても」
「いいことをしていたな」
「そうだけれど」
「今話している人はな」
「そんなお話すらね」　
　蜘蛛を助けた様なというのだ。
「それすらね」
「なくてだな」
「もうね」
「地獄の亡者以下だな」
「そうかもね。つくづくいいことなんてしたことなくて」
「誰かの為に何かしたこともな」
「ただ自分だけで」
　頭の中、心の中にあるものはというのだ。