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神々の塔

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第七十五話 焦る気持ちその十二

「ほんまに」
「そうよね、そやからね」
「今回も工夫せえへんと」
「勝てへんわ」
「ほなどないすするか」
「知恵を使いましょう」
「攻撃と防御の補助系の術を使えるだけ使うんや」
 こう言ったのはシェリルだった。
「個々におる是認でな」
「そうしてこっちを強うするんやね」
「ヤルダバオトさんは正攻法や」
 そうした戦闘スタイルだというのだ。
「そして部屋な小細工は通人」
「そやからやね」
「そや」
 まさにというのだ。
「ここはな」
「それやとこっちも正攻法やね」
「そしてそれで戦うなら」
「うち等を極限まで高める」
「術を使ってな」
「そうするんやね」
 まさにというのだ。
「ここは」
「そや、そしてな」
「戦って」
「勝つで、時には正攻法もな」
「やるんやね」
「そや、正攻法があかんか」
 芥川は言った。
「果たして」
「そうやないね」
「常に相手の弱点を衝いたりな」
「奇策とかやね」
「使うもんやない、むしろな」
「正攻法が何であるか」
 綾乃も言った。
「それが有効やからやね」
「そや、何でも奇をてらうとな」 
 そうすればというと。
「かえってな」
「あかんね」
「そや、それでや」
「今回はやね」
「正攻法でや」
「戦って」
「そして勝つで」
「わかったで」 
 綾乃は芥川の言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
 一行は術で自分達の力を極限まで高めたうえでヤルダバオトに正面から向かった、渾身の直接攻撃や術をぶつけてだった。
 神霊に勝った、するとヤルダバオトは上機嫌で言った。
「これでよしだ」
「上に行ってええですね」
「うむ、ではこれからもな」
「進んでいって」
「踏破するのだ」
 こう言うのだった。
「いいな」
「はい、ほな」
「あと少しだ」
 それでというのだ。
「気を緩めずだ」
「進むことですね」
「我は邪心があると言われている」
 ヤルダバオトは自分のことから言った。
「しかしな」
「それでもですね」
「仮にも創造主だ」
「それやとですね」
「私なりにだ」 
 まさにというのだ。
「この世界を愛しているのだ」
「そやからこの世界をですね」
「救って欲しい、頼むぞ」
「そうさせてもらいます」 
 綾乃が応えた、そうしてだった。
 上に進んだ、宿屋に泊まってからそうした。焦ることなくそのうえで一歩一歩確実に進んだのであった。


第七十五話   完


                  2024・5・23 
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