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もう親じゃない

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第三章

「外道だよ」
「そうなるね」
「ああ、だからあの親父は」
 今話している漫画に出て来る彼はというのだ。
「もうな」
「親じゃないね」
「毒親だよ」
 こう言うのだった、そうしてだった。
 八奈見も大林も飲んで食べて楽しんだ、その数日後だった。
 大林は朝起きてネットであるニュースを見た、そして球場に行って八奈見にそのニュースのことを話した。
「子供の為とか行ってな」
「どうしたんだ?」
「氷点下の時に裸にさせて滝に打たせて」 
 そうさせてというのだ。
「心臓麻痺になって殺しかけたそうだよ」
「馬鹿だな、その親」
 率直な声でだ、八奈見は軽蔑を込めて言った。
「救い様のない」
「うん、児童虐待で訴えられるみたいだよ」
「当然だな、厳しくするとか躾とかな」
「鍛えるとかね」
「必要でもな」
「常識ってあるよね」
「極端なもの、他人を利用する」
 八奈見は深刻な顔で述べた。
「そうしたのはな」
「やるべきじゃないよ」
「ああ、教育でもな」
「その通りだね」
「それがわかっていない親もいるな」
「何時でもね」
「じゃあ自分がやってみろ」
 八奈見は厳しい顔で言った。
「氷点下の時に裸になってな」
「滝に打たれる」
「それでそれ何時何処でやらせたんだ」
「早朝の青森でね」
「正真正銘の馬鹿だな」
 その親についてこうも言った。
「本当にそんな親はな」
「親じゃないね」
「そうだよ、そもそも自分がやられてどうだ」
「真冬の東北で朝から裸で滝を浴びるとか」
「大リーグ何とか付けさせたりな」
「他チームのコーチになって攻撃するとか」
「そんなのはな」 
 それこそというのだ。
「親じゃない」
「その通りだね」
「ああ、そこまでしたらな」
 こう言うのだった、そして練習に入ったが部屋に置かれていた新聞では巨人のニュースが一面にあった。十五連敗とそこには書かれてあった。


もう親じゃない   完


                     2024・3・15 
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