サンダーボーイズ
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第五章
「人間とね」
「そうだしね」
「それじゃあね」
「本当にね」
それこそとだ、怜奈はまた言った。
「人間の中で暮らしていてもね」
「わからないわね」
「本当にね」
実際にというのだ。
「サンダーボーイズみたいにね」
「他にもね」
「人間の中で暮らしていても」
「本当にわからないし」
「そうした妖怪が他にいても」
「不思議じゃないわね」
「そりゃから傘とかね」
怜奈はこの妖怪の話もした。
「あからさまに人間と姿が違うと」
「わかるけれど」
それでもとだ、麻衣も言った。
「普通にね」
「人間の姿なら」
「それならね」
最早というのだ。
「わからないわね」
「若しかして」
「私達のお隣さんとかも」
「実は妖怪だったり」
「そうかも知れないわね、けれど」
麻衣は怜奈の言葉を受けて言った。
「悪いことしなかったら」
「それでいいわね」
「人間でもね」
それでもというのだ。
「普通に悪い人いて」
「お隣さんがとか」
「そんなことはね」
それこそというのだ。
「普通にね」
「あるわね」
「お隣さんが殺人鬼とか」
「サスペンスであって」
「実際もね」
現実でもというのだ。
「有り得るしね」
「そうよね、それに比べたら」
「妖怪でもね」
彼等が隣人でもというのだ。
「悪いことしなかったら」
「いい妖怪ならね」
「それならね」
そうであるならというのだ。
「別にね」
「いいわね」
「そう、人間も妖怪も」
その違いがあれどというのだ。
「いいか悪いか」
「性格や行いが」
「それ次第ね」
「そうそう、問題はね」
「そういうことでね」
「人間でもね」
そうであってもというのだ。
「悪い人もいるから」
「そう考えるとね」
「いい妖怪ならね」
そうであるならというのだ。
「本当にね」
「お隣で暮らしてもいいわね」
「何の問題もないわね」
「全くね」
二人で話した、そしてだった。
仲良くサンダーボーイズのライブを観に行く様になった、殆ど誰も彼等が妖怪であるとは気付いていなかったが。
気付いている二人も内緒でだ、一緒にライブを観て楽しんでいた。
「まさかこのバンドが妖怪なんて」
「誰も思わないわね」
「けれどいいバンドね」
「歌も演奏もよくて」
「息もぴったりで」
そうしてというのだ。
「演出もいいわ」
「稲光りもね」
「こんなバンド他にないから」
「これからも楽しんでいきたいわ」
一緒に笑顔で話してだった。
推しとして応援していった、彼女達は彼等を推して純粋に楽しんでいった。そこには妖怪がどうとかは一切なかった。
サンダーボーイズ 完
2024・7・28
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