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星河の覇皇

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第八十七部第一章 シャイターンの復活その十九

「そこに隙が生じてだ」
「失態を犯すか隙を衝かれ」
「そうして敗れますね」
「事実そうして敗れた事例の何と多いことか」
「サハラの千年の戦乱の歴史において」
「サハラだけではない」 
 勝ったと思い油断して敗れたことはというのだ。
「人類の歴史がはじまってだ」
「戦争があり」
「その戦争ではですね」
「多くの者が油断して敗れた」
「そうなってきていますね」
「確かに」
「漢の高祖もそうだ」
 劉邦、彼もというのだ。
「西楚の覇王に反旗を翻したな」
「項羽にですね」
「その彼に対して兵を挙げ」
「瞬く間に巨大な勢力となりましたね」
「漢中から兵を起こしな」
 封じられたその地からだ。
「優れた人材の力もあり大きな勢力となった」
「そしてさらにでしたね」
「天下の諸侯を従え」
「項羽の本拠地を陥落させ」
「五十六万の大軍を擁していましたね」
「当時としては規格外の大軍だった」
 ただしこれは号していたつまり実際の数より多く言っていた可能性が高い。古代中国では実際の数より多く規模を言うことが常だったのだ。例えば戦国時代の長平の戦いの趙軍は四十五万と称していたが実際は四万程だった様だ。
「まさに天下の軍勢の殆どだった」
「当時の中国のですね」
「そこまでの兵を集めてですね」
「項羽の本拠地を占領した」
「まさに勝ちましたね」
「天下は劉邦のものになると見られた」
 その時点でだ。
「最早な、しかしな」
「そこで、でしたね」
「項羽は三万の兵を率いて本拠地に引き返しました」
 彭城にである。
「そして五十六万の劉邦の軍勢を激しく攻め」
「散々に打ち破りました」
「そして劉邦は命からがら逃げました」
「我が子を捨てようとしてまて」
「父や妻まで捕らえられ」
「散々なものでした」
「一敗地に塗れた」
 それが劉邦の負け様だった。
「これ以上はないまでに敗れた」
「それは歴史にある通りでしたね」
「劉邦は買ったと思い油断しきり」
「そして敵の本拠地で遊び惚け」
「そこで散々に破られました」
「その後勝ちはした」
 多くの有能な人材に助けられてだ、特に豊かな後方を抑えそこを宰相の蕭何が治め何かあると兵や物資を送ったことが大きかった。 
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