もう通用しない

「絶対に。ただ本当に堀内みたいなことはしないから」
「嫌いだからよね」
「お前もだろ」
「大嫌いよ」
　本気の顔と言葉だった。
「あいつはね」
「だったらな」
「だから私も暴力はね」
「振るわないな」
「絶対にね」
　それこそというのだ。
「振るわないわ、誰に対してもね」
「そうしないと駄目だな」
「人を罵ったりね」
　そうしたこともというのだ。
「しないし」
「連帯責任とかもないね」
「もうそういうの通用しないでしょ」
　千佳は冷静に指摘した。
「もうね」
「その通りだよ、もう堀内の考えややり方は」
　それはというと。
「令和の今ではね」
「通用する筈がないわね」
「平成でも通用しなかったんだよ」
　既にというのだ。
「だからコーチとしても誰も育ててなくて」
「監督としてはね」
「あのチームで最低の」
　そう言われ遂にはチームから追い出された。
「監督って言われたわね」
「そう、選手時代のままでいても」
　昭和四十年代のというのだ。
「通用する筈がないよ」
「その通りよね」
「だからね」
「もう相手にしなくていいわね」
「ただ反面教師にするだけでいいよ」
　堀内はというのだ。
「その行いや性格をね」
「その通りね、あいつから学ぶことは」
「反面教師にすることだけでね」
「いいことは学ぶことはないわね」
「そう思うよ」　
　まさにというのだ。
「あいつについてはね」
「その通りね」
　千佳も完全に同意して頷いた。
「私もあいつ嫌いで」
「大嫌いって言ったし」
「ああはなるまいってね」
　その様にというのだ。
「思ってるわ」
「そうだね」
　まさにとだ、寿も頷いた。
「あいつはそうだよ」
「そうね、ただ」
「ただ？」
「巨人の監督二年でクビになったけれど」
　それでもというのだった。
「出来ればずっとね」
「巨人の監督して欲しかった」
「今もね、だってね」
　そう思う理由も話した。
「あいつ育成出来ないし采配もド下手で」
「人望もなくてね」
「チーム崩壊させるから」
　だからだというのだ。
「是非ね」
「巨人の監督をだね」
「ずっとね」
「やって欲しかった」
「そう思うわ」
　こう言うのだった。
「心からね」
「そう言われると」
　寿も考える顔になって答えた。