| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

北海道一色

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                北海道一色
 オールスターがはじまる前にだ、札幌市のラーメン屋で働いている知床亜沙美はその輪を聞いて言った。色白でふっくらとした頬を持ち優しい感じの垂れ目だ。黒い髪の毛をセットして伸ばし後ろで束ねている。一五八位の背で胸が大きい。
「今年調子いいからなのね」
「そう、オールスターはね」
 高校時代の同級生で今はOLをしている稚内澄香が答えた、二人は今喫茶店で話をしている。澄香は茶色の長い髪の毛で狐を思わせる顔でやはり色白だ。背は一六五位ですらりとしたスタイルを見せている。
「もうね」
「日本ハムの選手多いのね」
「それぞれのポジションでね」
「ファン投票一位ね」
「ほぼ独占してるのよ」
「そうなのね」
「去年は阪神だったけれど」
 澄香は亜沙美に話した。
「けれどね」
「今年はうちね」
「日本ハムよ」
「そうなのね」
「いや、まさかよね」
 澄香はコーヒーを飲みつつ言った。
「日本ハムがここまで強いなんて」
「信じられないわね」
「二年連続最下位だったからね」
「それが今三位だからね」
「それで前半戦終わったから」
「健闘よね」
「試合内容もいいしね、まあね」
 澄香はこうも言った。
「二年連続最下位でも」
「試合内容悪くなかったわ」
 亜沙美も言った。
「頑張ってたわ」
「いつもね」
「若手育ててて」
「それが徐々に実を結んできていて」
「助っ人も活躍してくれて」
「フリーエージェントやトレードで選手獲得してね」
「補償でもね」 
 亜沙美はミルクティーを飲みつつ話した。
「田中さん来たしね」
「それでストッパーしてくれて」
「万波さんブレイクしたし」
「加藤さん変わらず頑張ってくれてね」
「田宮さんも出て来て」
「思いの他強くなったわ」
「それでなのね」
 亜沙美はあらためて言った。
「オールスターの投票日本ハム独占ね」
「今はね、そしてね」
 澄香はさらに言った。
「見たら元日本ハムの人もね」
「多いわね」
「近藤さんと岡さんね」
「お二人そうよね」
「本当に今年はね」
 まさにというのだ。
「日本ハムがね」
「オールスターの主役ね」
「ええ、ただ二年連続最下位だったから」
 澄香は苦笑いになって言った、苦笑いの原因はコーヒーの苦さが原因ではないことは明らかであった。
「監督さんはね」
「出てないわね」
「新庄さんはね」
「今の活躍の立役者だけれどね」
「北海道でね」
 今自分達がいる場所でというのだ。
「見守っているわ」
「そうよね」
「まさかのまさか」
 澄香は今度は唸って言った。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧