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金木犀の許嫁

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第二十七話 実家に着いてその七

「実際にルイ十四世やマリア=テレジアが飲んでいたしな」
「凄いわね」
 夜空はその名前を聞いてすぐに行った。
「太陽王にオーストリアの女帝ね」
「実際は即位していないからな」
「そうよね」
 神聖ローマ帝国の帝位に就いていたのは夫のフランツ=シュテファン=フォン=ロートリンゲンであった、俗に言う傀儡だが財政や領地経営では結構な才能を発揮している。
「あの人は」
「けれどそう呼ばれてるからな」
「あの人が生きていた頃からよね」
「どう見てもな」
 それこそ誰もがだ。
「あの時のオーストリアの主は誰かというと」
「マリア=テレジアさんね」
「ハプスブルク家の人で」
 神聖ローマ帝国皇帝家のというのだ。
「そして統治もな」
「あの人がしていたから」
「もうな」
 誰が見てもというのだ。
「あの人が女帝だったんだ」
「そうだったのね」
「それでその人もな」
「トカイお好きだったのね」
「ああ、ただこれがな」
 秀樹は真昼に少し苦笑いになってこんなことも言った。
「日本の皇室だとな」
「贅沢なお話ないからよね」
「ないな」
「トカイ飲まれてないのかしら」
「飲まれてるかも知れないけれどな」
 それでもというのだ。
「絶対に贅沢はな」
「されてないわね」
「あんな質素なお家はないからな」
 君主でというのだ。
「北の将軍様とえらい違いだぞ」
「あそこはまた酷過ぎるわよね」
「お寿司食べてるんだぞ」
 今度はその寿司、鰻の握りを食べて言った。
「国民の人達餓えてるのにな」
「私達が食べるんじゃなくて」
「将軍様だけが食べているんだ」
「酷いわよね」
「どれだけ酷いか、おそらくトカイもな」
 この高価なワインもというのだ。
「好きなだけだ」
「飲んでるのね」
「他にも色々なご馳走食べて高価なお酒を飲んで」
 そうしてというのだ。
「宮殿に住んで高級ブランドに囲まれてるんだ」
「ふざけてるわね」
「そんな国と比べたらな」
 それこそというのだ。
「日本の皇室はどれだけいいか、それでうちもな」
「トカイもなのね」
「流石にな」
 ランブルスコの白を飲みつつ言った。
「ないからな」
「そうよね」
「このランブルスコも安かったんだ」
「安売り?」
「ああ、それと他のお酒もな」
「ビールとストロング系ね」
「そちらもな」
 そうした酒達もというのだ。 
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