氷漬けの生きもの
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第二章
「このマンモスは」
「氷が溶けてもなんだ」
「心臓とか脳味噌が止まってるからな」
それ故にというのだ。
「溶けてもな」
「死んでるんだ」
「ああ、そうだよ」
「そうなんだね」
「ただ肉は氷漬けてな」
そうなっていてというのだ。
「それで溶けたらな」
「食べられるんだ」
「そんな話があるんだよ」
「そうなんだね」
「シベリアの方ではな」
「お肉は食べられるんだ」
「そうだぞ」
こう息子に答えた。
「面白いだろ」
「うん」100
息子は笑顔で答えた。
「そうだね」
「そうだな、それにな」
「それに?」
「実はな」
息子にこう前置きして話した。
「まだ生きてるってな」
「生きてるの?」
「シベリアにな」
まさにその地というのだ。
「いるってな」
「そうなんだ」
「そんな話もあるんだ」
「そうだ、面白いな」
まさにというのだった。
「まだ生きているなんてな」
「本当かな」
「それはわからないがな」
父はそれでもとだ、息子に話した。
「若しまだ生きていたら面白いな」
「そうだね」
息子は父に目をキラキラとさせて応えた。
「いて欲しいね」
「そうだな、氷漬けのマンモスだけじゃなくてな」
「生きているマンモスがいたらね」
「本当に面白いな」
「そうだよね」
こうした話をした、そしてここで妻が言ってきた。
「お昼にしましょう」
「ああ、そうだな」
「お弁当持って来たし」
妻が作ってきたものである。
「サンドイッチね」
「今から皆で食べるか」
「そうしましょう」
「じゃあな」
「ええ、今からね」
「三人で食べような」
家族でとだ、こう話してだった。
実際に三人で楽しく食べた、氷漬けのマンモスを見た後でそうしたのだった。
氷漬けの生きもの 完
2024・7・21
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