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夢幻水滸伝

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第三百五十七話 東部の動きその八

「そやったが」
「最近は出ませんね」
「どういう訳かな」
「災害の様でしたが」
「災害は何時起こるかわからへんが」
 このことはこの世界も変わらない。
「しかしな」
「それでもですね」
「急にや」
「出なくなりましたね」
「何故かな」
「そのことが不思議ですね」
「巨人はこの世界の危機と関係があるとな」 
 迫り来るそれにだ。
「そうした説もあるが」
「なぜか多くの地域で出なくなりましたね」
「何でや」
「それがわからへんですね」
「わい等の起きた世界で今いる日本で巨人っていいますと」
「あのカスみたいに弱くて悪いことばかりしてるチームや」 
 野球のそれだとだ、メルヴィルはホーソーンに答えた。
「そやな」
「そうですが」
「あのチームとは関係ないな」
「そうですね」
「昔は球界の盟主を僭称しとったが」
「今は二十五年連続最下位ですね」
「それも二十五年連続勝率一割台でな」
 そうした有様でというのだ。
「毎年ぶっちぎりでや」
「最下位ですね」
「それも只の最下位やない」
 巨人の最下位はというのだ、今や巨人に見るべきところは何一つとして存在しない。まさに転落である。
「打率も防御率も打点も失点も」
「ホームランも盗塁も奪三振数もですね」
「エラーもな」
「全て最下位ですね」
「失点とエラーは一位でな」
「まさに真の最下位ですね」
「巨人はな」 
 そういったことも全て二十五年連続であるのだ。
「観客動員数もや」
「最低で」
「毎年不祥事が起こるな」
「ゴシップでだけ人気がありますね」
「そうした無様なチームになってるわ」
「そうですね」
「こっちの世界でもそうやしな」
 やはり巨人は弱いのだ。
「無様で格好悪いな」
「そんなチームですね」
「とことん弱いな」
「名前だけですね」
 エミリーも言った。
「関係があるのは」
「そや、巨人軍っていうな」
「そうですね」
「犯罪組織の巨人軍はな」
 彼等はというと。
「色々謎が多くてな」
「わかってへん部分ばかりですね」
「その規模すらな」
「この世界全体に根を下ろしているとも言われてますね」
「そうやがな」 
「まだ全貌はわかってへんですね」
「少なくとも犯罪はあらかたやってる」 
 メルヴィルはこのことは間違いないとした。 
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