神々の塔
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第七十三話 狼の遠吠えその十一
「問題ない」
「そうですか」
「そしてだ」
それにというのだった。
「これよりな」
「はい、戦ですね」
「それをしようぞ」
「それではお願いします」
「ローマの英雄達が相手だ」
カエサルは黄金に輝く鎧を着て緋色のマントをたなびかせて話した、風がないが彼はその力でたなびかせていた。
「不足はないな」
「ある筈がないです」
これが芥川の返事だった。
「そんなことは」
「狼に育てられたロムルスとレムルスの子孫だ」
「そやからお強いですね」
「その強さを受けるのだ」
こう言ってだった。
ローマの神霊達は戦闘に入った、そしてだった。
カエサル達と戦った、そのカエサルとも戦ったが彼はかなり強くそれでだった。
中里は大柄だが俊敏な彼の動きを見てだ、芥川に問うた。
「伊達にローマ最大の英雄やないな」
「ああ、ほんまな」
芥川もまさにと頷いた。
「この神霊さんは」
「ほんまな」
「それでな」
芥川は中里に言った。
「僕等としてはな」
「その素早い動きをやな」
「遅くするんや」
「術でやな」
「カエサルさんは色々なことでフットワークが軽かった」
「政に戦にやな」
「学問にもそうでな」
芥川はさらに話した。
「お付き合いでもや」
「何とかとやな」
「よお動き回ってな」
そうした人物でというのだ。
「ことを為した」
「それで俊敏やな」
「女性にもだぞ」
カエサル自身が笑って言ってきた。
「伊達に禿げの女ったらしではない」
「またそう言います?」
「事実だからな、それでわしの動きをか」
「遅くします」
芥川はまさにと答えた。
「そうします」
「そうするか」
「そして」
芥川はさらに話した。
「僕等もです」
「術を用いてか」
「速くします」
自分達の動きをというのだ。
「そうします」
「相手が素早いならだな」
「その動きを鈍くして」
それと共にというのだ。
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