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夢幻水滸伝

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第三百五十六話 東と西その十

「その時にな」
「友達になりますね」
「そうもんやってな」
「言う人がおるんですね」
「そや」
 こうデリーロに話した。
「何でもない人の死を残念に思うか」
「そんな筈がないですね」
「友達やさかいな」
「残念に思いますね」
「そこに絆、情があるさかいな」
 だからだというのだ。
「それでや」
「そう思うので」
「その人はそう言ったみたいや」
「そうなのですね」
「そしてな」
 トウェインはまた赤ワインを飲んでから言った。
「わいもそうした考えがあるってな」
「思われましたか」
「そや」
 まさにというのだ。
「そうな」
「そうですか」
「まだそうした経験はないけどな」
「お友達が死んで」
「そやけどな」 
 それでもというのだ。
「そうした考えもあるってな」
「思われますか」
「ああ、しかし友達は出来るだけな」
「早く死んで欲しくないですね」
「そう思うな」
「まああれですね」
 ガーランドは考える顔になって話した。
「死ねばええとかはよ死ねとか」
「人にそう思われるってな」
「残念なことですね」
「それだけでな」
「そうですね」
「人は生きてたらな」
「死んだ時に残念だと思われる様になりたいですね」
 心からだ、ガーランドはこの言葉を出した。
「ほんま死ねばええとかはよ死ねとか」
「人に心から思われるってな」
「残念なことですね」
「そう言われるってな」 
 その死を心から望まれることはというのだ。
「それだけでな」
「残念なことですね」
「そやな」
「ほんまに」 
「生きてても害にしかならんとかな」
 世の中残念なことにそうなってしまっている輩もいるのだ、悪意のみ心にあったり自分のことしか考えないならそうなる。
「言われたらな」
「残念ですね」
「五十年位生きててな」 
 そこまでの人生を送ってというのだ。
「そう思われたらな」
「かなり残念ですね」
「ほんまそやろ」
「はい」
 ガーランドもまさにと答えた。
「その時は」
「そやな」
「はい、出来れば死んだ時にです」
「誰でも死ぬしな」
「この世界でも寿命がありますし」
「術とか道具で復活出来てもな」
 それでもとだ、トウェインは話した。 
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