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夢幻水滸伝

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第三百五十六話 東と西その八

「もてたんや」
「それは凄いですね」
「失恋もしたけどな」
「それだけもてますと」 
 ヘミングウェーは唸って言った。
「もうです」
「ええな」
「はい、お名前は知っていましたが」
「学校の授業でも出るしな」
「そやけどです」
「そのことは知らへんかったな」
「はい」 
 そうだったとだ、ヘミングウェーはトウェインに答えた。
「そうでした」
「わいも最近知った」
「そうでしたか」
「幾ら何でもな」
「一万人以上とは」
「毎日一人でもな」 
 相手の女性はというのだ。
「三十年はや」
「かかりますね」
「どれだけ凄いねん」
「そうですね、私ではです」
 ヘミングウェーは唸ったまま言った。
「とてもです」
「出来へんな」
「はい」 
 到底とだ、トウェインに答えた。
「一人でもです」
「忙しくてな」
「時間がありません」
「そやな」
「はい、しかし」
 それでもというのだった。
「このことは覚えておきます」
「そうするな」
「出来ないですが」
 一万人以上の女性と関係を持つことはというのだ。
「そやけど時間があれば」
「恋愛を経験したいな」
「そうですね、怖いものっでもありますが」
「八条学園では有名なお話がありますからね」 
 エリカは難しい顔になった、そのうえでヘミングウェーの言葉に頷いて言った。
「友達と思っていた人達にとある人が自分が好きだと言われて」
「告白をする様けしかけられてな」
「そして告白しますと」 
 ヘミングウェーに嫌そうな顔のまま話した、見れば他の面々も嫌そうな顔をしてそのうえで話を聞いている。
「振られて」
「振った女の子の周りが騒いでな」
「女の人自身も」
「それで友達と思っていた人達は」
「その騒ぎを聞いて自分等が縁切れって言われてな」
 告白をけしかけた人にというのだ。
「それでな」
「自分達の立場が危うくなったと見て」
「実際にな」
「縁を切りましたね」
「自分等の都合が悪くなるとな」 
 そうなると、というのだ。
「即座にな」
「そうですね」
「縁を切った」
「ほんまの友達やなかった」
「そや、それで振られた人はな」
「そのことを周りから言われて」
「地獄味わった」
「幸い本当の親友がいてくれて」
 振られ縁を切られた人にはというのだ。 
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