| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

金木犀の許嫁

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十五話 赤い自動車その六

「そう言うしかないですね」
「本当にそうですね」 
 真昼もまさにと頷いた。
「日本のマスコミは」
「そしてその中にプロパガンダもありましたが」
「巨人だけを報道する」
「そうなればです」
「巨人とそれ以外のチームになりますね」
「長い間そうでした」
 日本ではというのだ。
「それで、です」
「皆巨人ファンだったんですね」
「そうでした」 
 まさにというのだ。
「かつては」
「酷いですね」
「それが戦後日本でした」
「マスコミがやりたい放題ですね」
「学者もです」 
 彼等もというのだ。
「やはりです」
「同じですね」
「はい」
 そうだったというのだ。
「腐敗しきっていて」
「嘘もですね」
「幾ら言ってもです」
 そうしてもというのだ。
「やはりです」
「同じですか」
「そうでした」
「そのお話も聞きますね」
「はい、実にです」
「酷かったんですね」
「嘘を言っても」
 そうしてもというのだ。
「誰もです」
「問題にしませんでしたか」
「北朝鮮を賛美して」
 そうしてというのだ。
「それによってです」
「それで、ですか」
「大変なことがです」
「あっ、帰国事業ですね」
「それが起こって」 
 そうなってというのだ。
「多くの人がです」
「あの国にですね」
「行って」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「もう二度とでしたね」
「帰らなかったですが」
 そうだったがというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「誰もです」
「学者の人達も」
「同じでした」 
「責任取らなかったんですね」
「マスコミもでしたが」
 彼等もでというのだ。
「旗振りをした学者達も」
「一人もですか」
「そうしたことをした人の存在を」
 幸雄は苦い顔で話した。
「私は聞いていません」
「酷いですね」
「多くの人があの国に帰り」
 帰国事業である、新潟からあの国に帰っていったのだ。だが生きて帰った者は文字通り一人も存在しないのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧