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金木犀の許嫁

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第二十四話 たこ焼きその十三

「親鸞さんのこの教えって」
「そうよね」
 夜空もまさにと頷いた。
「悪い人も救われる」
「自覚していてもしていなくても」
「だからこそ自分の悪いことをしたことを自覚して反省して」
「慎んでね」
「それで仏様の教えを守って念仏を唱える」
「仏様に頼るんだよ」
「いい考えよね、流石にどうしようもない人は地獄に落ちても」
 そうなろうともというのだ。
「罪を自覚して反省している人が救われるなら」
「こんないい教えはないよね」
「そうよね」
「それで夜空さんも悪いことしてるんだ」
「何かとね」
「生きていて」
「自覚しているわ」
 佐京に眉を下げてやや俯いて答えた。
「そうしてるわ」
「そうなんだね」
「そうなのよ」
「俺もだよ、やっぱりね」
「悪いことしているのね」
「数え切れない程ね」
 こう夜空に答えた。
「本当に」
「そうなのね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「本当にね」
「反省しているのね」
「そうなんだ、けれどね」
 それでもとだ、佐京はさらに話した。
「悪いことは今もね」
「してるのね」
「そうなんだ」
「やっぱり人間生きていたら」
「悪いことするよね」
「そうよね、どうしてもね」
「大抵の人はそうだよね」
「そうね、それでだけれど」
 さらにだ、夜空は佐京に話した。
「これから飲むけれど」
「準備出来たしね」
「するめそのままでいい?」
「焼かなくてだね」
「私そのまま食べるけれど」
 袋から出したするめを話した。
「よかったら炙るけれど」
「いいよ」
 微笑んでだ、佐京は夜空に答えた。
「俺もそのままで食べる方が好きだし」
「するめは」
「だからね」
 それでというのだ。
「そうすることはね」
「いいのね」
「うん、それに」
 佐京はさらに話した。
「夜空さんも手間がかかるし」
「遠慮しなくていいのに」
「いや、気遣いはね」
 それはというのだった。
「俺はあまりされるとね」
「嫌なのね」
「うん、炙るなら」
 例えそうするならとだ、佐京は夜空に話した。優しく穏やかな顔でそこには悪いものは一切なかった。
「自分でやるしね」
「いいのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「これからね」
「飲むのね」
「そうしよう」
 するめや梅干しを前にして話した。
「二人でね」
「それじゃあね」
「今こうしてこれからもね」
「一緒に飲むのね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「結婚してからもね」
「一緒に飲むのね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。 
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