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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその五十二

「ヒトラーは戦場にいなかった」
「ベルリンにいました」
「そして何かとだ」
「現場に介入して指揮を混乱させ」
「戦略のミスも起こしてな」
「ドイツを敗北に導いてしまいました」
「そうなった、戦争でなくともだ」
 それに限らずというのだ。
「スポーツチームでもだ」
「フロントがチームに介入しますと」
「いい結果にはならない」
「彼等は実際にプレイをしていませんので」
「それならだ」
 つまりグラウンドを知らないからだというのだ、実際にそこにいる者として。
「支障が出るのは当然だ」
「それと同じですね」
「その過ちをだ」
「あの御仁は犯しますか」
「何かあればな、兎角今軍の掌握を考えている様だが」
「その介入がですね」
「非常にまずい」
 マールボロは言い切った。
「マウリア軍にとってな」
「ではあの軍はですね」
「今度かなり弱体化し」
 そしてというのだ。
「対外的にはな」
「弱い軍隊となりますね」
「そうなるだろう、装備と数はあるだろうが」
「戦術そして戦略で、ですね」
「かなりの支障をきたす様になってな」
 そうなってというのだ。
「そしてだ」
「弱体化しますか」
「ジャバル副主席によってな」
 他ならぬ彼によってというのだ。
「そうなるだろう、彼の弱点はそれだ」
「軍事ですね」
「それは致命的にない、他の分野は天才と言っていいが」
 それでもというのだ。
「そちらの才能はな」
「全く欠けていて」
「そのことに自覚もないからな」
 それも全くだ。
「だからだ」
「マウリア軍はあの御仁が国家主席になったならば」
「究めて弱体化する、そこが問題になる」
「マウリアにとって」
「間違いなくな、卿にそのことを話しておく」
「マウリア軍について」
「あの軍隊は弱くなる」
 モンサルッヴァートに強い声で話した。
「そのことは卿も頭に入れておいてくれ」
「それが閣下があの国に行かれて気付かれたことですね」
「軍事的にな、優れた政治家が確かな軍事を行えるとは限らない」
 それは決してというのだ。
「ヒトラーもだったしな」
「そうですね、ヒトラーは軍事では反面教師です」
「エウロパでは他の分野では評価されているがな」
「しかしです」
 こと軍事ではというのだ、彼は。 
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