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孤独でない神

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第二章

「出来る限り北のオリンポスや東のシュメール等で防いでいるが」
「それでもな」
「私がそちらの神々に後れを取るとな」
「敵は大蛇だけではないからな」
「どうしてもだ」
「常に私も一緒dだがな」
 トトは申し訳なさそうに述べた。
「戦は」
「だが貴殿は知恵や学問もだ」
「司っているからだな」
「そちらで信仰が深くだ」
 そうであってというのだ。
「愛されている」
「そういうことだな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「貴殿と私ではな」
「人気が違うか」
「神々の間でもな」
「そうなのだな、だが」
「それでもか」
「貴殿は満足しているのだな」
「貴殿がいる」
 セトはそのトトを見つつ彼に告げた。
「常に共に戦い傍にいてくれて理解してくれている」
「その私がか」
「いる、私も機電を理解しているつもりだ」
 トトに言うのだった。
「即ち友だな」
「我々はな」 
 トトもその通りだと答えた。
「まさにな」
「友がいてな」
 セトはさらに話した。
「そして主がいる」
「私のことか」
「はい、私を理解してくれて」
 今度はラーを見て話した。
「信頼してくれていますね」
「そのつもりだ」
 ラーはセトに確かな声で答えた。
「私もな」
「そしてこうしていつも労ってくれています」
「当然のことだ、いつも私の為に働いてくれているのだからな」
「それで充分です」
 セトは微笑んで言った。
「私は」
「私とトトがいるだけでか」
「信頼出来る友がいて主がいる」
 その両方がというのだ。
「それならばです」
「満足か」
「そうです、もうそれなら他の誰に何か言われても」
「いいのだな」
「私は。ではこれからも」
 セトは厳かな声で話した。
「私は働きます」
「私の為にか」
「私と共に」
「その様に」
 こう言うのだった、そしてだった。
 セトはトトと共にラーを護る為に戦っていった、彼は多くの者から愛されていなかった。だがそれでも彼は胸を張っていた。友の横主の前でそうしていった。


孤独でない神   完


                   2024・4・14 
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