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八条学園騒動記

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第七百五十七話 麻薬がもたらすものその五

「変わらないでな」
「無能な働き者にもならない」
「雑草という草はないが」
 それでもというのだ。
「どうにもならないだ」
「毒草はあるわね」
「そうした屑はな」
「どうにもならない毒草ね」
「実際誰かの為に何かしたことはなかったそうだな」
 テンボがまた言ってきた。
「それこそ献血の一度もな」
「しなかったの」
「慈善活動もな」
「本当に自分だけの人だったのね」
「そうだった、それでいて偉そうだった」
「何が偉いのよ」
 エイミーは心からこう言った。
「一体」
「エイミーもそう思うな」
「何もない人じゃない」
 こう言うのだった、怒って。
「お金も実績も経歴もね」
「資格もな」
「人格も人徳もね」
「尚人の部屋の本を勝手に漁るが」
 テンボはまたこの話をした。
「本を借りて読んでも有り難うとはな」
「言わないのね」
「ふんぞり返った不遜な笑顔で文句を言っていたらしい」
「本を貸してくれた人に」
「ああだこうだとな」
「それで本を漁るのね」
「人の部屋で勝手にな」
 勝手に入って勝手に漁るというのだ。
「それも本をポンポンと投げる感じで探す」
「ものを大事にもしないのね」
「そうだ」
「増々以てよ」
 エイミーはさらに言った。
「何がどう偉いのか」
「わからないな」
「テンボもでしょ」
「さっぱりわからない」 
 テンボ自身もこう言った。
「俺もな」
「そうよね」
「プライドだけ高いな」
 ダンはこう指摘した。
「正真正銘の屑はだ」
「プライドは高いか」
「プライドだけはな」
 テンボに対して話した。
「だから尊大だ」
「自分の叔父さんにちょっと言われてもな」
 肉親の目上にあたる人にというのだ、尚連合は血縁関係も国によって多少の違いはあってもラフな付き合いが普通だ。
「その人は脳梗塞から復帰したが」
「脳梗塞か」
「当時は中々回復出来なかったが」
 この時代では何なく復帰出来る様になっている。
「その人にちょっと言われてな」
「怒ったんだな」
「わかるか」
「プライドの高い奴の常だ」
 まさにというのだ。
「それはな」
「二回言われてな」
 そうであってというのだ。
「殴ってやろうかとか言ったりな」
「身体の悪い自分の叔父さんにか」
「そして取っ組み合いになったりもな」
「自分から掴みかかったな」
「そんな風だったらしい」
「もうどうにもならないな」 
 ダンは冷たい声で述べた。 
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