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八条学園騒動記

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第七百五十七話 麻薬がもたらすものその四

「怨みがましく言ったそうだ」
「小さいわね」
 やはり軽蔑しきった顔でだ、エイミーは言った。
「人としての器が」
「そうだな」
「そんなことまで言うなんて」
「しかも甲斐性もだ」 
「ないわね」
「爪切りまでお世話になる位な」
「その意味でも酷いわね、しかも」
 エイミーはさらに指摘した。
「それ人に言ったのよね」
「だから人に伝わってな」
「あんたも知ってるのね」
「一人思って言わないならね」
 ジャッキーも言って来た、やはり軽蔑しきった目になっている。声もそうなっていてそのうえで言うのだった。
「それで終わりだしね」
「そうだな」
「それでそれを人に言ったのね」
「そうだ」
 テンボはジャッキーにも答えた。
「これがな」
「無神経ね」
「そうだな」
「しかも奥さんへの感謝は」
「なかった」
 テンボは断言した。
「微塵もな」
「爪切りまでお世話になっていて」
「何一つな」
「どうしようもない屑ね」
「そうだな」
「世の中五つの人種がある」 
 ダンは腕を組んで述べた。
「有能な働き者、有能な怠け者とだ」
「無能な怠け者、無能な働き者ね」
 エイミーが応えた。
「よく言うわね」
「それに屑だ」
 その四つに加えてとだ、ダンは答えた。
「この五つだ」
「屑も入るのね」
「無能な怠け者や無能な働き者はすぐに変わる」 
 その評価がというのだ。
「向いている仕事に就けたらな」
「それで有能になるわね」
「怠け者は人参をぶら下げたりするとな」
 馬に例えて話した。
「働き者になる」
「皆有能な働き者に出来るのね」
「流石に皆は無理だが」
 統計を取ると向いている仕事でも個人の能力差がある、そしてどんな組織でも一定の割合で怠け者は存在するのだ。これは怠け者を除去してもそれまで働き者だった者がそうなるのだ。これは蟻の実験でわかったが人でも同じだった。
「しかしな」
「可能な限りよね」
「有能な働き者は増やせる」
「そうよね」
「だが屑はな」
「今テンボが話したみたいな」
「どうにもならない」
 ダンははっきりと言い捨てた。
「何をしてもだ」
「よくならないのね」
「人はよくなるにもある程度のレベルが必要だ」
「ゼロだと何をしてもゼロ?」
「そうだ、少しでも何かあれば」
 それでというのだ。
「そこから変われるが」
「成長もするわね」
「そうなるが」
「ゼロ、性根がどうしようもないと」
「屑のままだ」
「変わらないのね」
「何をしてもな」
 忌々し気に話した。 
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