交流戦は嫌いな兄妹
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第三章
「パリーグが何処も圧倒的なのはな」
「というか楽天こんな強かったの?」
「いや、聞いてないよ」
「ヤクルトにも勝ってるし」
「サヨナラでね」
「あそこから流れ変わった?」
「そうだね、しかもね」
寿はさらに言った。
「阪神今年最初からつまづいたし」
「新庄さん相手にね」
「うん、これはまずいかな」
「勝ち越せるかしら」
「勝ち越さないと」
さもないと、というのだ。
「ペナントも不安だよ」
「そこから崩れるってよくあるしね」
「そうだよ、しかしね」
寿は自宅でだ、妹にカルピスを飲みつつぼやいた。見れば妹もカルピスを飲んでいる。二人共結構薄めている。
「楽天に三タテ受けて」
「落ち込んでるわね」
「この通りね」
観れば実際に落ち込んでいる。
「そうなっているよ、しかしね」
「まだこれからね」
「楽天がこんなに強いとは思わなかったけれど」
「ノーマークだったわね」
「ソフトバンクとかはしてたけれど」
「日本ハムにロッテもね」
「けれどね」
それでもというのだった。
「まさかね」
「楽天があそこまで強いってね」
「何あんなチームが四位なのかな」
「普通にオリックスも強いわよね」
「そのオリックスは五位だし」
そうであるからだというのだ。
「いや、本当にね」
「パリーグ強いわね」
「シリーズ大丈夫かな、阪神」
「そっちはカープが出るから」
「阪神だよ」
「カープに決まってるでしょ」
やがて言い合いになった、しかし。
二人の母がだ、そんな兄妹に言った。
「飲み終わったら後片付けしなさいね」
「うん、わかってるよ」
「そうするわね」
そう言われて言い合いに水が差されてそれは止まった、そのうえで二人はカルピスを飲みつつさらに話した。
「交流戦勝ち越したいな」
「もう優勝は置いておいてね」
「そうしたいな」
「後半戦の勢いの為にね」
こう話すのだった、正直二人共交流戦は嫌だった。どうしたらパリーグのチームに勝てるのか疑問にすら思っていた。
交流戦は嫌いな兄妹 完
2024・6・25
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