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おいてけぼりにされた犬の家族

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第二章

「全く以て」
「そうですね、あの子達は助かりましたが」
 アレンもスタッフの言葉に頷いて言った。
「捨てるなんて最低の行いです」
「そうですね」 
 このことを二人で話した、この話をだった。
 インターネットで知ったセルビアで動物保護団体のスタッフをしているニコライ=セルゲビッチ薄い金髪と青い目の中肉中背の彼はその通りだと言った。
「そうだよ、本当にな」
「こうしたことはですね」
「あってはいけないよ」
 後輩にこの話をしつつ言った。
「本当にね」
「こっちはこうした話が多いですね」
「セルビアでもね」
「この子達もでしたし」
「ワン」
 後輩は自分達が世話をしている一匹の犬を見た、中型犬で色は茶色で顔の真ん中が白い。見れば二匹の茶色の子犬と白い子犬合わせて三匹を連れている。
「モリ、マリ、アン、ナンも」
「クン」
「クンクン」
「クゥン」
 三匹の子犬達もここで鳴いた、セルゲビッチは彼等を見て言った。
「街の郊外に捨てられて」
「飼い主が誰かわからないですが」
「しかし」
 それでもというのだ。
「捨てられたことは事実で」
「ずっと飼い主を待っていた様ですが」
「それでもな」
 こう言うのだった。
「来る筈もなくて」
「こっちで保護しました」
「それで今度本当にいい人達がな」
「家族になってくれます」
 里親が決まったのだ。
「有り難いことに」
「ああ、しかしな」
「捨てるなんて最低ですね」
「アメリカでもあってな」
「セルビアでもありますね」
「こうしたことをする奴は何処でもいてな」
 そうしてというのだ。
「酷いことになる」
「それなら最初から飼って欲しくないですね」
「全くだ」 
 こう話した、そして犬の一家を送り出した、だが本当に犬もっと言えば生きものを捨てる輩を許せないと心から思うのだった。


おいてけぼりにされた犬の家族   完


                    2024・6・20 
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