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血のつながっていない姉

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第二章

「激しい応援はしないから」
「握手会も行かないですね」
「グッズを買うこともね」
「静かなファンですね」
「音楽を聴ければ」
 それが出来ればというのだ。
「いいから」
「そうですね」
「何か同じアイドル好きでも」
「全く違いますね」
「僕と義姉さんは。他にも」
 その義姉にさらに話した。
「同じものが好きでも」
「その好きな在り方が違いますね」
「全くね、あべこべだね」
「そうですね、私達は全くタイプが違いますね」
「うん、普段もの静かな義姉さんも」
「応援は別です」
「スポーツもね」
「私はラグビー、オールブラックスです」
 好きなスポーツとチームはというのだ。
「野球ならヤクルトです」
「僕は卓球だし野球は日本ハムだし」
「やっぱり違いますね」
「何かとね」
 もっと言えばそれぞれ異性の趣味も違っていてだ、それで二人共家族で仲がよくともそれでもだった。
「平和だよ」
「お義姉さんとはなんだ」
「うん、凄くね」
 こう言うのだった。
「仲良くやっていけてるよ」
「姉弟として」
「普通のね」
「喧嘩することなくて」
「ましてそうした漫画にある様なこともなくてね」
 それでというのだ。
「凄くね」
「平和なんだ」
「そうだよ」
 山村は須田に微笑んで話した。
「至ってね」
「急に兄弟が出来たら」
「それも血のつながっていない」
「しかも性別が異なると、となると」
「そうしたことはあくまでそうした漫画でのことでね」
「実際はなんだ」
「ないと思うよ、少なくともうちはね」
 自分の家庭はというのだ。
「ないよ」
「そうなんだ」
「そう、平和だから」
 それでというのだ。
「安心してね」
「わかったよ、ただ安心して」 
 須田は山村の言葉に頷いて言った。
「少しがっかりしたよ」
「そうしたことがなくて」
「そうだよ、普通なんだね」
「そうだよ」
 須田に笑って答えた、そうして学校でも平和に過ごした。当然家でもだった。


血のつながっていない姉   完


                   2024・6・20 
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