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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその十五

「全く以てな」
「はい、全くです」
「それが現実です」
「彼等はマウリアのことを知りません」
「特にカーストのことは」
「知識としてはありますが」
「それだけだ」
 知識に留まっているとだ、ジャバルは看破した。
「まさにな」
「身を以て知っていませんね」
「その絶対さを」
「そして虐げられる立場のことを」
「一切ですね」
「踏まれる痛みは踏まれた者だけが知っている」
 そうされた者だけがというのだ。
「まさにな」
「左様ですね」
「それはまさにその通りです」
「彼等はカーストの国にいません」
「そしてカーストを見た者も少ないです」
「それも非常に」
「それならばです」
「知る筈がない」
 その身を以てというのだ。
「その目でも見ていない」
「そのカーストは」
「それはですね」
「どうしてもですね」
「我々のことを語っても」
「それでもですね」
「知識としてだけのことです」
「それでは限度がある、知識があっても大きいが」
 それが備わっているだけでというのだ。
「まだな」
「無知より遥かにましですね」
「知っているだけでも」
「それでもですね」
「全く違いますね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「それだけでだ」
「全くですね」
「それはですね」
「知識があれば」
「それで違いますね」
「それだけで全く」
「それは事実だ」
 知識が備わっていることは無知より遥かにいいというのだ。
「まだな」
「その身で知らなくとも」
「目で見ていなくとも」
「頭に入っていれば」
「その分ですね」
「遥かにいい、何一つ知らないで語るなぞだ」
 それはというと。
「愚の骨頂だ」
「まさにですね」
「それに他ならないですね」
「そしてそうした愚か者はですね」
「副主席としては」
「論外だ」
 そうだというのだ。
「まさにな」
「左様ですね」
「ではですね」
「連合でまだ知識がある者はましですね」
「それでも」
「そう思う、しかし差別はまことにな」
 あらためて苦い顔で述べた。 
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