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ハッピークローバー

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第百三十一話 悪魔がいないその五

「即刻ね」
「アウトよね」
「数百人はないでしょ、ましてやね」 
「ましてや?」
「チヨちゃんあの人蝙蝠になって逃げたとかも言ってたけれど」
 この伝説の話もした。
「これはもっとね」
「ないわね」
「そんなのだったら最初からよ」
「捕まらないわね」
「確かにとんてもない人だったかも知れないけれど」
 それでもというのだ。
「何百人も殺したか」
「それはないわね」
「そう思うわ」
「けれどあっちじゃね」
 かな恵はそれでもと言った。
「吸血鬼って凄い怖がられてるわね」
「何か山に逃げて見付からないとかね」
「そんな吸血鬼が今もいるとか」
「言われてるのよね」
「あっちの子達真剣に言うし」
「それでチヨちゃん尚更吸血鬼怖がるのね」
「あの人の名前聞くだけでもで」
 心底怖がってというのだ。
「悪魔は怖がらなくても」
「吸血鬼は怖がるのよね」
「ルーマニアだけじゃないのよね、吸血鬼って」
 理虹も言ってきた。
「世界中にいて特に東欧全体でね」
「お話あってね」
「あの娘も怖がるのね」
「あの人が吸血鬼で今も生きているって言って」
 そうしてというのだ。
「蝙蝠に変身して逃れて」
「何処かでね」
「また何かしようとしている」
「そうね」
「死んだわよね、あの人」
 かな恵は怪訝な顔で言った。
「お城にずっと監禁されて」
「記録で残ってるのよね」
「だったらね」
 それでというのだ。
「間違いないわ」
「死んだわね」
「ええ」
 確実にというのだ。
「もうね」
「そうよね」
「何でそう信じるのか」
「何百人も殺して血のお風呂に入った吸血鬼で」
「今も生きているとか」
「ないでしょ」
「それはね」
 こう理虹に話した。
「お話としてはかなり怖いけれど」
「ないわね、というかね」
 理虹はかな恵に話した。
「今もあの人そこまで怖がられてるのね」
「地元だと」
「ハンガリーではね」
「もう悪魔以上に怖がられてて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「名前聞くだけでね」
「怖がる娘いるのよね」
「そういえばね」
 理虹はさらに言った。
「フランスでもね」
「青髭さんはそんなポジションよね」
「悪いことしてたら来るって」
「言われるのよね」
「日本だと鬼だけれど」
「ハンガリーだとあの人で」
 ここでかな恵はこう言った。
「フランスだと青髭さんか野獣ね」
「ジェヴォダンの野獣よね」
 一華が暗い顔で応えた、ルイ十五世の頃に出没したこの謎の獣のことは彼女もフランス出身の友人から聞いていて知っているのだ。 
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