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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその八

「そうしていく」
「無血革命ですね」
「それが革命の理想ですし」
「これをそれからしていきますね」
「我々は」
「暴力で権力を得る手段もあるが」
 革命でだ、ジャバルはこうも言った。
「しかしそれはだ」
「出来るだけですね」
「避けるものですね」
「それを進んで行うことはですね」
「避けるものですね」
「そうだ、むしろ我々の様にな」
 ジャバルはここで紅茶を飲んだ、最高級の葉とミネラルウォーターを使って砂糖とミルクも厳選した極上の紅茶である。
「最初からだ」
「政府の中枢に入り」
「権力の座に就き」
「そして行う」
「それがいいですね」
「余計な手間が省けるしだ」
 権力の座に就くまでのそれがというのだ。
「しかも血も流れない」
「まさに理想ですね」
「そしてその権力の座からですね」
「革命を行っていく」
「そうしていきますね」
「そうしていく、そして我々はだ」
 即ちアウトカースト層はというのだ。
「マウリアを支配する、一千億の我々がだ」
「二千億の彼等を支配しますね」
「カーストの者達を」
「そうしますね」
「階級なぞひっくり返してしまうものだ」
 ジャバルはこうも言った。
「何時までも虐げられるなぞだ」
「あってはなりません」
「虐げられたならその恨みを晴らせ」
「そして虐げた者の上に立て」
「そうあるべきだ、権力はだ」
 それはというのである。
「その座に就く者は永遠か」
「違いますね」
「それは」
「常に変わります」
「そうだ、あらゆるものは変わり普遍のものなぞ存在しない」 
 全くという言葉だった。
「この世界ですらそうだな」
「創造と調和、破壊の中にあります」
「必ず最後は壊れ」
「そしてまた創造されます」
「調和の時もあるがやがて変わる」
 この世界即ち宇宙ですらそうだというのだ。
「世界ですらそうだ、なら人間の社会はな」
「尚更ですね」
「常に変わりますね」
「そうなりますね」
「そうだ、権力なぞだ」
 それこそというのだ。
「ある程の力があれば何時でもだ」
「変わるものであり」
「普遍では到底ないですね」
「まことに常に変わる」
「そうしたものですね」
「時が必要な場合もあるがそれはある程度の資質の者だ、私は違う」
 ジャバルは自分自身のことを話した。 
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