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夢幻水滸伝

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第三百五十一話 ソーサラーとしてその十二

「恐ろしいことになるわ」
「周りを巻き込む」
「そして惨事も引き起こす」
「そうなりますか」
「ただ賊やモンスターを倒すだけでなく」
「そうよ、そしてその力に溺れたら」
 デリーロはそうなった時のことも話した。
「その場合も怖いでしょ」
「はい、確かに」
「若し自分の力に溺れますと」
「それを以てしたいことをして」
「好き勝手に振るってです」
「想像を絶する事態に陥りかねません」
「お金も権力もね」 
 まずはそう言った力のことを話した。
「そして暴力もよ」
「暴力、ですか」
「若し暴力に溺れますと」
「これ以上はないまでに恐ろしいですね」
「人を傷付け嗤う」
「そうした輩になってしまいますね」
「お金、財力も権力も同じでね」
 先に挙げた二つの力の話もした。
「そうした力に溺れて好き放題したなら」
「それこそ暴君の誕生ですね」
「暴君として君臨し害を為す」
「そうなってしまいますね」
「それがどれだけの災厄をもたらして」
 そうしてというのです。
「世を乱すか」
「よくある話ですね」
「物語だけでなく現実に」
「君主でなくとも何処でもいます」
「あらゆる組織に」
「例えばお家でね」
 家庭でというのだ。
「家長としてやりたい放題行う」
「そんな輩も暴君ですね」
「家のお金と家長の地位を傘に来て君臨し」
「家族に好き放題暴力を振るう」
「こうした輩も同じですね」
「下衆よ」
 デリーロはこれ以上はないまでに強い軽蔑を込めて吐き捨てる様に言い切った、嫌悪も隠そうとしていない。
「薄汚いね」
「全くですね」
「それが力に溺れた輩ですね」
「左様ですね」
「そんな力を奪ってやったら」
 その時はというと。
「何でもない、チンケなものよ」
「溺れている力を失えば」
「もう何でもないですね」
「その時は」
「そんな家長は家を追い出されるとよ」 
 その時はというと。
「野垂れ死によ」
「外で、ですね」
「そうなりますね」
「力に溺れたら」
「そうなるわ、その時に泣いてもね」
 そうしてもというのだ。
「手遅れよ、どんな立場でもよ」
「溺れた力を失うと」
「後はそうなりますね」
「抜け殻ですね」
「屑の本質だけが残って」
 デリーロはここでもこれ以上はないまでの軽蔑を込めて話した。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「誰からも見捨てられ」
「そして野垂れ死にですね」
「そうなりますね」
「そうなるわ、だからあたしはね」
 今度は自分を咎める様にして言った。 
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