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夢幻水滸伝

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第三百五十話 西部統一その十三

「絶対にな」
「そうなんですね」
「中には重いもんが多くてな」
「過酷な人生もありますね」
「そうした人生も聞かせてもらうとな」
「ええですか」
「ああ、ただそうした人生はな」
 重いものが多い、そうした人生はとだ。トウェインは話した。
「あくまでその人がお話したいだけな」
「したらええですか」
「辛いやろ」
 トウェインはやや目を伏せた、そうして悲しい顔になってさらに話した。声にも悲しさが含まれていた。
「重いもん語るのは」
「そうですね」
 ガーランドも神妙な顔になって応えた。
「その人にとって辛い、苦しいもんは」
「トラウマになってることかてな」
「ありますね」
「そうしたことはな」
「お話せんでもええですね」
「人生色々でな」
 その人それぞれのものがあってというのだ。
「中にはな」
「壮絶な人生を歩んだ人もいて」
「不幸にもな」
 そう呼ばれることにもというのだ。
「数多くや」
「遭ってきて」
「そしてや」
「重いもんが多くある」
「そうした人もや」
「世の中にはいてはって」
「語ることもな」
 その重いものをというのだ。
「辛い、それもお話するだけで」
「そうである人もいますか」
「心の傷になっててな」
「その傷が痛むので」
「心の傷は身体の傷より治りにくい」
 トウェインはここでも目を伏せ哀しい顔になって話した。
「ほら、遠井君な」
「ああ、彼ですね」
 ヘミングウェーが応えた。
「学園では有名ですね」
「失恋と裏切り、碌でもない家庭でな」
「かなり傷付いた人ですね」
「ああした人もおるしな」
「だからですね」
「星華ちゃんは色々あっても」
 同じ学園にいる人の話を思い出しつつ話した。
「立ち直った、これは遠井君もやけど」
「あの人はあまりにもです」
「トラウマが多いな」
「間違いなくそうですね」
「今は幸せになってるけどな」 
 それでもというのだ。
「ああした過去があるとな」
「語れへんですね」
「重いもんが多過ぎてな」
「それで、ですね」
「語れんわ、そしてそうした話はな」
「言われへんでもですね」
「ええ、語れんこともある」
 トウェインはその顔のまま話した。 
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