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金木犀の許嫁

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第二十話 大阪の実家その八

「それでね」
「意地張って大坂の陣になって」
「結局焼け落ちたけれどね」
「秀頼さん達は落ち延びたけれど」
「ご先祖様達と一緒に」
「そうなったけれど」
 それでもというのだ。
「家康さんは兎に角ね」
「あのお城が欲しくて」
「それだけのお城だったのよ」
「そうよね」
「そう思うと」
 それならというのだ。
「行くのもね」
「いいわね」
「そうよね」
 姉妹で話した、そしてだった。
 夜空はこの話の後でだ、佐京に話した。
「お姉ちゃんと行こうってなったけれど佐京君もね」
「俺もなんだ」
「そして白華ちゃんも」 
 彼女もというのだ。
「一緒にね」
「里帰りするんだ」
「幸雄さんも。それで大阪城にもね」
「行くんだ」
「どうかしら」
「あそこでご先祖様が戦って」
 それでとだ、佐京は言った。
「落ち延びた」
「私達にとっては縁がある場所ね」
「それなら」
 佐京は確かな声で言った。
「俺も是非」
「行きたい?」
「それで夜空さんのお父さんとお母さんにも」
「将来佐京君のお父さんとお母さんにもなるのよね」
「お義父さんとお義母さん」
 こう夜空に返した。
「そうなる人達」
「そうよね」
「挨拶もしないといけないし」
「いや、そんな難しいことはね」
「いいんだ」
「ただね」
 夜空は言った。
「何か佐京君って」
「俺がどうしたのかな」
「かなりね」  
 考える顔で言うのだった。
「遠慮してない?」
「そうかな」
「元々謙虚だけれど」
 そうした性格だがというのだ。
「お父さんとお母さんには」
「礼儀を守ってるつもり」
「いや、そうじゃなくて」
「遠慮しているんだ」
「遠慮しなくていいわよ」
 佐京に言うのだった。
「だって将来はね」
「親になるから」
「私にとっては最初からで」
 そうであってというのだ。
「佐京君はね」
「夜空さんと正式に結婚したら」
「そうなるから」
 だからだというのだ。 
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