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名古屋だがや

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第三章

 彼等にだ、こう言われた。
「おみゃあさん喋り方変わっただがや」
「そうだがや」
「いや、入学した時は違ったのに」
「名古屋弁じゃなかったのが」
 それがというのだ。
「今では変わったでりゃーーす」
「完全に名古屋弁だがや」
「そうなっただがや」
「そうだがやな」
 栄太郎はまさにとだ、クラスメイト達に答えた。
「いやわしもだがや」
「最初は違っただがや」
「名古屋弁全然喋られんで」
「名古屋もよく知らなかっただがや」
「驚いているのがわかっただがや」
「この名古屋自体に」
「そうだっただがや、それがだぎゃ」
 自分で言うのだった。
「変わっただがや、それで高校もだがや」
「名古屋の高校だがや」
「そっちに進学するだがや」
「そうするだがや、もうずっとだがや」
 明るい笑顔で言うのだった。
「名古屋にいたいだがや」
「そう言ったら完璧だがや」
「おみゃさん名古屋人だがや」
「そうだがや」
「そうなったと思うだがや」
 クラスメイト達に笑顔で応えた、そして家に帰ると良心に卒業式の話もしたがそこでこうも言った。
「もうわしずっとだがや」
「名古屋にいたいだがや」
「そうなっただがや」
「そうだがや」
 名古屋弁丸出しで答えた。
「もうずっとだがや」
「最初は馴染めるかと言ってたのに」
 父は笑顔で話した。
「随分変わっただがや」
「全くだがや」
 母も笑顔で続いた。
「すっかり馴染んだだがや」
「そうなっただがや」
「むしろ私達以上に」
「自然とそうなっただがや」
 笑顔で言うのだった。
「わしは」
「それが名古屋らしいだがや」
 息子に笑顔で話した。
「住んでるとだがや」
「自然とだがや」
「名古屋に馴染んで」
 そうしてというのだ。
「名古屋の全部が好きになって」
「名古屋人になるだがや」
「そうだがや」 
 こう息子に言うのだった。
「そしておみゃあさんもお父さんお母さんもだがや」
「そうなっただがや」
「モーニングも」
 喫茶店のというのだ。
「それもだがや」
「ボリュームがたっぷりで」
「いいだがや」
「ナポリタンの鉄板焼きもだがや」
 母はこの名物の話をした。
「素敵だがや」
「あれわしも大好きだがや」
「もう名古屋にいると」
「本当に馴染んだだがや」
「それで栄太郎は」
「高校も名古屋でそれからもだがや」
 まさにとだ、息子は母に答えた。
「名古屋にいたいだがや」
「そうか、それならな」
「大学もそうするだがや」
「そしてお父さんがまた転勤することになっても」
「名古屋にいるだがや」
「そうするだがや」
 笑顔で応えてだった、栄太郎は中学の想いでのことも話した。そうして高校でも名古屋のそこに通い大学もそうして就職も名古屋でだった。
 両親は彼が就職した時には他の場所に転勤した、だが彼は名古屋に残り結婚もして冠婚葬祭にもお金を使ったが。
 周りにだ、笑顔で話した。
「名古屋に骨を埋めるだがや」
「名古屋人だから」
「そうするだがや」
 こう言うのだった、そして名古屋で働き続け結婚もして家庭も持って子供や孫達とも過ごした。もう誰も彼を愛媛にいたとは思わなかった。名古屋の全てを愛し名古屋に親しんでいる名古屋人だと思った。その全てが名古屋であったので。


名古屋だがや   完


                  2023・10・15 
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