金木犀の許嫁
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第十九話 ハンデその八
「法律的には完全に日本人で」
「食べものなくなったのに取り立てるなんてしなかったわね」
「助けていたみたいですね」
飢饉等困窮した時はだ。
「やっぱり」
「日本はそうしていたから」
だからだというのだ。
「差別があっても」
「ましですか」
「それに在日の人達いるでしょ」
「朝鮮半島から来た」
「朝鮮戦争から逃れたね」
ある人達は強制連行で連れて来られたと言っているが強制連行とは日韓併合が無効でないと成り立たない論旨だ、何故なら当時半島は日本であるので徴用したとして合法であるからだ。そもそも当時の日本は半島から人が職を求めて密かに入って来る問題に頭を悩ませていた。強制連行とは逆にである。実はその多くはあの戦争から避難してきていた人達なのだ。
「あの人達祖国に戻ったら」
「凄く差別されるとです」
白華は真顔で答えた。
「在日の子から聞いています」
「パンチョッパリとか言われてね」
「差別されるならましで」
それで済めばというのだ。
「北朝鮮に行けば」
「もうね」
「地獄行きですね」
「そのことは私達も知ってるわよ」
「他の国の人達も」
「帰って」
北朝鮮にだ、帰国事業といったものが実際に行われ多くの人が北朝鮮に帰りそのことの旗振りをした人達がいるのだ。
「もう一人もね」
「生きて帰って来なかったです」
「まさに地獄に送られて」
「あそこはもうです」
白華は北朝鮮について眉を顰めさせて話した。
「究極の差別国家です」
「階級あるしね」
生まれたそ立場でだ。
「革命とやらの時どうだったかで」
「実際は革命なんてなかったです」
「あそこに首領様がソ連から来ただけで」
日本の敗戦後にだ。
「それだけだったけれど」
「その時共産主義に好意的かどうだったか」
「地主さんだったかとかね」
「それで決めています」
「身分をね」
「共産主義にはない筈ですが」
平等を詠っているこの思想ではだ。
「将軍様は世襲でして」
「身分があってね」
「もう差別がです」
「制度になっていて」
「身分が低いとです」
「生きることも難しいでしょ」
「そうです」
「そんな国よりもね」
アイルランドの娘は話した。
「日本はね」
「ましですか」
「ずっとね」
こう言うのだった。
「差別があっても」
「在日の人達についてもですね」
「地獄に送らないでしょ」
「間違ってもです」
「それならね」
「日本に差別はあってもですか」
「ましよ」
そうだというのだ。
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