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ソードアート・オンライン~漆黒の剣聖~

作者:字伏
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フェアリィ・ダンス編~妖精郷の剣聖~
  第四十話 領主の実力

一月七日

≪アルヴヘイム・オンライン≫からログアウトした後、桜火は即座に眠りについた。いろいろ普段とは慣れないことをしたため、知らず知らずのうちに疲れがたまっていたらしい。日付が変わり、朝を迎えても桜火はなかなかベッドから起き上がろうとはしない。

「ふあ~・・・」

一大決心をしてベッドから起きたのは目を覚ましてから三十分後のことだった。時刻を確認してみるとAM6:00と時計が示している。窓の外を見ても、ようやく日が昇ってきたあたりだった。

「ん~、っと・・・」

ベッドから出ると、最初に向かうのはもちろん洗面所。顔を洗い歯を磨く。人として当たり前のことだが、SAOではこんなことする必要はなかったので習慣化させるのに大変だった、とは桜火の中でいい思い出である。

「さて、と・・・片付けますか・・・と、その前に風呂でも沸かしておくか」

昨夜の宴会会場となっていたリビングはすごいありさまで、缶ビールや缶チューハイ等の空き缶は多数転がっており、つまみに買ってきたと思われるものの空き袋なども散らかっている。さらには、焔が作ったつまみをのせていた皿などもあるため、いろいろと混沌としていた。
さすがにそれを宴会終了直後に片付けろというのは酷と言うもので、そのままとなったわけだがあらためて見るとひどいありさまだった。

「~~~♪~~~♪~~~♪」

その混沌としたものたちを鼻歌まじりに慣れた手つきで片付けていく。一時間後には、ゴミはしっかりと分別されリビングはすっかりきれいになっていた。食器類もきれいに洗われている。

「よし・・・まぁ、こんなもんだろ・・・んじゃ、次は朝食か・・・何にしよう・・・」

冷蔵庫を覗きながら朝食のメニューを考えていると、お姉さま方が二日酔いがきいてるのかどんよりした雰囲気を纏いながら起きてきた。

「「おはよう・・・」」

「・・・おはよう、っていうか大丈夫か?」

予想以上の状態に桜火は思わず心配になって聞いてみると案の定というべき答えが返ってきた。

「正直、だめ・・・」

「右に同じ・・・」

焔だけでなく瑞希もぐったりとしている。

「っていうか、なんで桜火君はそんな元気なの?」

「・・・さぁ?」

昨夜は相当飲んでいたためこうなっても仕方がないとは思わなくもないが、桜火も結構飲んでた方であるのになんで二日酔いの形跡が見られないのか。桜火には心当たりが一つだけあるのだが、さすがにそれを今口にするのは大いに躊躇われた。そんなことは露知らず、こうも差が出ていることに理不尽を禁じ得ない二人。そんな二人に冷蔵庫に入っていた500mlのポカリスエットを二人に渡しながら言った。

「風呂沸いてるんで入ってきたらどう?」

「そう、させてもらうわ・・・」

「ごめんね、何から何まで・・・」

二人が風呂場の方へと消えていくと桜火はポツリとつぶやいた。

「朝食はシジミの味噌汁だな」

タイミングよく冷蔵庫に入っていたシジミを取り出しながら桜火はほかのメニューを考えていく。



二人が風呂から出てきたのが一時間後のことで、現在はAM8:00をちょっとすぎたくらいの時刻に三人は朝食をつついていた。白いごはんに鮭の切り身、卵焼きとシジミの味噌汁といった典型的な日本の朝食だった。

「結局あの後ALOはやったの?」

「やったよ」

ある程度二日酔いが冷めたらしく、先ほどとは打って変わった様子で話していく焔。隣では瑞希も興味津々といった様子で耳を傾けている。

「どうだった?」

「やっぱりSAOとは違うな。特に魔法や飛行と言ったものは新鮮だった」

「まぁ、それがうりのゲームだからね」

それからは普通に談笑しながら箸を進めていた。食べ終わった後の片付けは焔と瑞希が担当し桜火はリビングでくつろいでいた。そんな中、思い出したように桜火は焔と瑞希に言った。

「そういえば、さ・・・昨日聞けなかったんだけど、勢力図とか教えてほしいんだけど・・・」

「いいわよ。なら、この片付けが終わってからね」

―――五分後

片づけも終わり、リビングで三人はくつろぎながらALOについて語り合っていた。

「えっと、つまり、それぞれの種族の実力者たちを総称した呼び名があると?」

「ええ、≪火妖精の三将≫、≪風妖精の五傑≫、≪土妖精の四天衆≫、≪水妖精の(アルコバレーノ)≫、≪闇妖精の七大罪(アルカンシェル)≫、≪猫妖精の三獣士≫、≪音楽妖精の六詩人(ローレライ)≫、≪影妖精の六道(りくどう)≫、≪鍛冶妖精の三巨頭(アルティフェクス)≫、ね。今はこれに名を連ねる、もしくは連ねたプレイヤーがそれぞれの種族を率いているはずよ」

「なるほどな。けどそれって世代交代とかあるんじゃないのか?それに今はってどういうこと?」

「昔・・・黎明期の話になるけど、各種族にそれぞれその上、いわゆる初代領主たちがいたのよ。今はある事情から世代交代が起こってその初代領主たちはいないわ」

「なら、今の領主の名前とか具体的にわからないのか?」

「わかるわよ、と言っても私たちがわかるのは少し前のことよ?それでもいいなら教えるけど?」

焔の言葉に桜火は首を縦に振ることで意を示した。それを受けた焔は自身が知っているだけの情報を桜火に教える。

「サラマンダーはモーティマー、シルフはサクヤ、ノームはアラン、ウンディーネはドロシー、インプはルシフェル、ケットシーはアリシャ・ルー、プーカはロゼ、スプリガンはシェイド、レプラコーンはフェリクス、だったはずよ」

「ルシフェルとは昨日会ったな。いろいろ教えて貰った・・・ああ、あとフォルテってプレイヤーにもあったよ」

その言葉に大きな反応を見せたのは焔だった。それを見た桜火は首をかしげている。

「どうした?」

「・・・なんでもないわ。フォルテってプレイヤーは火妖精の三将に名を連ねるほどの実力者よ」

「ああ、やっぱりそうなのか・・・見た感じ結構出来るやつだと思ったからな」

「それで、桜火君はこれからどうするの?グランド・クエストとか・・・」

瑞希の問いに桜火は少し悩んだ末、

「ん~、グランド・クエストはどっかに傭兵として雇ってもらうとかするしかないだろ」

「なら、ちょうどいいところがあるよ」

それから瑞希のアイデアを聞いた桜火は再び頭を捻ることとなった。

「ケットシーとシルフが同盟を結ぶ動きがあるようなの。だから、うまくその二種族に取り入れられればはかどると思うよ?」

「同盟、か・・・」

「まぁ、あくまでそういう動きがあるってだけで、実際に結ばれるかはわからないんだけどね」

「今の一番の勢力はサラマンダーなんだけど・・・その二種族で同盟を組まれたら勢力図はそっちに傾くわ」

「なるほど、な・・・ってか、なんでそんなこと知ってんだ?」

「「それは秘密」」

「・・・さいですか」



それから焔と瑞希は二人仲良く出かけて行った。二日酔いはどうした、と突っ込みを入れたかった桜火だったが、心の中だけにとどめておいた。

「んじゃ、おれはALOに入るとするかね」

ベッドに横になり、ナーヴギアをかぶると異世界に旅立つ呪文を唱えた。

「リンク・スタート」

―――次に目を開けると、そこ者すでに妖精郷だった。
昨日休んだ宿からの始まりだったので、早速宿を出ると見知った顔と出くわした。

「よっ」

陽気に片腕を上げながら挨拶をしてくるインプ領主様をソレイユは怪訝な表情で見た。

「領主の仕事はいいのか?」

「安心しろ、もう終わらせてきた。それより、これから狩り行くんだろ?」

「まぁ、そうだけど・・・」

「なら、おれも同行するぜ」

まだ基礎的なことしか教わってなかったので、その申し出はこの上ないほど嬉しいものなのだが、昨日のあの光景を見ているあたり素直に喜べないソレイユ。そんなことは露知らずルシフェルは陽気に笑っている。

「はぁ・・・なら、今日はウンディーネ領の方に行ってみるか」

「そうか・・・なら、さっさと行こうぜ」

そういってルシフェルはインプ領の一番高い建物に向かって歩いていく。そのことに軽く疑問を感じたソレイユが聞いた結果――

「高いところから飛ぶことで、あらかじめ高度を稼いでおくんだよ」

――というお言葉をいただいた。なるほど、と納得するソレイユ。そこで焔との会話を思い出したのか、あることを口にした。

「そういえば、あんたって≪七大罪(アルカンシェル)≫ってのの一人なんだってな?」

その言葉を聞いたルシフェルの反応は絶大だった。特に転ぶ要素が見つからない場所で盛大に転んでいた。それを見たソレイユは昨日の仕返しができた、と表には出さないが内心でホクホクしていた。

「な、なんでそれを知ってるんだ?」

「知人に聞いたからだ。あながち間違いでもないな、あんたの反応を見る限り」

「はぁ、頼むからそれについては口にしないでくれ。今はその名が廃れてきている。知る者は黎明期を生きてきたものか、無駄に知識をつけている奴だけだろうぜ」

おまえみたいにな、と皮肉で返される。なかなか複雑な事情があるらしいことを察したソレイユはあまり口にしないことを決めるが、からかうネタができたと喜びもした。少し歩いていくと、インプ領の山の天井まで届いている円状の建物が目に入った。

「・・・これを登っていくのか?」

「安心しろ、エレベーターみたいになってから楽だ」

円状の塔にいい思い出がないソレイユは顔を顰めながら嫌そうに呟くが、次のルシフェルの言葉で安堵する。中に入っていくと広大なロビーとなっており、エレベーターらしきものの搭乗口が見える。そこに入ると、床に魔方陣が形成され勢いよく上昇した。数十秒を得て、頂上にたどり着いた二人は勢いよく飛び立っていった。

「さて、昨日の講義の続きだが・・・肩を動かすのはもっと小さくした方がいい。じゃないと、剣が振れないぞ」

「どうやって小さくするんだ?」

「それは個人によってさまざまだが・・・っと、ちょうど目の前に敵さんが見えてきたから、ためしに空中戦闘やってみ。俺は後ろでサポートすっから」

ルシフェルの言葉に一度頷くと、ソレイユは初となる空中戦闘に入っていく。敵の数は四体。外見はデカい鳥と言うものだった。ソレイユがその四体に突撃していくと、そのMobは口を大きく開き風の塊をはいてきた。それを難なく避け、剣を振るおうとしたところで急にブレーキがかかってしまう。再び放たれる風の塊を何とか避けると、ルシフェルの言っていた意味がようやく理解できた。

「なるほど、ね・・・」

それから、ソレイユはあれこれ考えながらMobの攻撃を避け、いろいろ試しながら随意飛行をものにしていく。その飲み込みの早さに遠目に見ていたルシフェルは驚きを覚える。それから、鳥型のMobを倒し終えるころにはすでにソレイユは随意飛行を完全にものにしていた。

「なんつーか、やっぱ恐ろしいな、お前」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

「どうしてそうなる・・・とりあえず、次は魔法を使いながら戦ってみ?」

ルシフェルが口を開きながら横を指差す。その方向に目を向けると、先ほどのMobが再び現れた。今度は突っ込むことはせず、魔法の詠唱を始めるソレイユ。放たれた魔法はまっすぐにMobに向かっていくがあっさり躱される。

「距離がありすぎる上に追尾機能も何もないただの単発魔法だからな・・・避けられて当然だ」

ただ放てばいいわけではない、というルシフェルにソレイユは少し迷った末、結局突進していった。それを見たMobは当然のごとく口を開いて攻撃を仕掛けていく。放たれた風の塊にソレイユは飛びながら高速で詠唱し、先ほどと同様の魔法を風の塊めがけて繰り出す。上手く命中し、風の塊と闇の単発魔法は相殺し合う。その隙にソレイユはMobへと急接近するが、刀は振るうことなく、魔法の詠唱を始めた。何度も放たれる風の塊を避けながら詠唱し終えると、Mobの攻撃から身を逸らし置いてくるように魔法を放つ。それを避けること叶わず、Mobはソレイユの魔法攻撃を喰らってしまう。その隙に刀を振るいMobを蹴散らす。

「・・・もう教えることなくね?」

その戦闘を見ていたルシフェルはそう呟く。現にソレイユの今の闘い方は教えてできるようになるものではない。大体、今のALOプレイヤーの大半は止まって詠唱をするか、飛行中に詠唱するかのどちらかである。Mobとはいえ、近接戦闘中に魔法詠唱など常人はしない。なぜなら、「動きながら魔法を詠唱する」というのはひどく難易度が高い荒業だったりするからだ。『システムが認識できるよう、一定以上の声量と明確な発音を必要とし、もし途中でスペルを間違えれば失敗(ファンブル)となりまた初めから詠唱しなければならない』というのがALOの魔法の大前提となる。
そのため、確実に呼吸が乱れる近接戦闘戦中に行うのはリスクが高すぎるのだ。だから、誰もやらないしやろうともしない。

「つか、あいつホントに何者だ?末恐ろしいにもほどがあるぞ・・・」

一体また一体と屠っていくソレイユ。その姿に戦慄と畏怖の念を感じるルシフェル。
そんなこんなですべてのMobを屠ったソレイユであるが、その眼光は鋭いままであった。そのことに首を傾げるルシフェルだが、次に聞こえてきた声でその疑問は解消されるのと同時に面倒事が増えたとため息をつくことになる。

「これはこれは、インプ領主のルシフェル殿ではありませんか。こんなところで会うとは奇遇ですなぁ」

笑顔を浮かべながらお供らしき八人を引き連れて現れたのはウンディーネのプレイヤーだった。明らかに作られた笑顔でやたらと嫌味を込められて発せられた言葉にルシフェルは嫌な表情を隠そうともしない。ソレイユはどうしていいのか分からず、とりあえずルシフェルのもとに飛んでいく。

「誰だ、あの嫌味ったらしは?」

「テリュスっていう自尊心の塊みたいな馬鹿だ。だが、姦計に関してはなかなか筋はいい」

「つまり策士、というわけか。どうする?」

こそこそ話しているが、そんなことお構いなしに言葉をつづけていくウンディーネのプレイヤー。

「今日はあの暴力女はいないみたいですし、その明らかなド素人だけで私たちから逃れられるとは思わないことです。ふふふ、今日こそあなたの命をもらいうけましょう」

ご高説、とは全然違うのだが明らかに見下した様子で見てくるが、そんなことお構いなしにソレイユはルシフェルへと気になったことを尋ねていた。

「あの暴力女って?」

「・・・レヴィアのことだ」

「・・・・・・なるほど、納得」

あの印象の強い姉御的な人物か、と昨日の出来事を思い出しているとテリュスなる人物が明らかに不愉快に顔を顰めていた。

「ずいぶんと余裕があるではありませんか・・・そのド素人と貴方だけでこの戦力にかなうと思っているのですか。あなたがそこまで愚かな男だとは思いませんでした。いいでしょう。そこまで私に命を取られたいというのなら望み通りにしてあげましょう!」

ながながとおしゃべりを終えると、テリュスは手をかざす。それを合図に八人のお供はそれぞれ武器を構える。それに合わせてソレイユも構えこそしないが臨戦態勢へと入るがルシフェルがそれに待ったをかけた。

「あ~、ソレイユ・・・ここは俺がやっから、おまえは下がって見てろ」

「・・・・・・ふぅ~ん。じゃあ、お言葉に甘えてお手並み拝見といきますか。≪七大罪(アルカンシェル)≫ってのに名を連ねるほどの実力を、ね」

「だからそれは言うなって・・・」

そう言いながら、ソレイユが後退しルシフェルが前衛に出る。それを見たテリュスは大声をあげて嘲笑う。

「くっ、くはははっははぁ・・・まさかあなた自らが戦うと・・・これは笑うしかないでしょう。いつもいつもあの暴力女に守られている、名ばかりの領主が一体この私とどのようにして・・・・・・っ!?」

しかし、その嘲笑いはルシフェルが放ったひとつの闇属性魔法がテリュスの頬を掠めたため、中断せざるを得なくなった。ただの直線的な魔法。いくら嘲笑っていようとも、テリュスの実力なら簡単に避けられる攻撃だった。しかもそれだけではない。

「わかるよな?今のはわざと頬を掠めたんだ。次は当てるぞ」

素人相手ならどこを狙っている、と嘲笑えただろう。しかし、相手は領主の地位まで上り詰めている男である。それが意味するところはただ一つ。

「さて、来い馬鹿ども。実力の差というものを教えてやる」

その言葉とルシフェルの醸し出す雰囲気にあてられ、テリュス達は数歩後退するもそこは自尊心の塊と評された男。今のルシフェルを見ればおのずと実力差を理解できるはずなのだが、退却という選択肢はないらしい。

「た、ただのこけおどしです!みなのもの、やってしまいなさい!」

それを合図に四人が武器を構えて突っ込もうとしたとき、その四人に向かってルシフェルから魔法が放たれた。速い弾速だが直線的な動きなため、その軌道上から外れようとした。

「甘いなぁ」

しかし、直線的な弾道を描いていた魔法は突如二十を超える量の魔弾となった。驚きながらも急いで射程圏外に外れようとする前衛の四人だが、間に合うはずもなくもろに食らってしまう。しかし、魔法自体にはさして攻撃力がないのか大した削りには至らなかった。安堵と同時にルシフェルに対して大した実力がないな、と嘲笑いを起こそうとしたとき、四人がいる空間が爆ぜた。
大音量とともに空間を焼き尽くす炎。ALOの中で広域殲滅型魔法に位置づけされるそれは容赦なく、空間とともにウンディーネ達を焼き尽くす。しかし、真に恐るべきはそれではなかった。この手の魔法は広域殲滅ということでつかう状況が極端に限られ、強力ゆえにスペルワードが長いため、扱いづらいという評価を受けるものだがルシフェルはそれを難なく使いこ成すだけではなく、長いスペルワードをほんの数秒で唱えてしまった。円環状に現れた文体を数えてみた結果、二十は下らない数のワードがあったにもかかわらず、である。

「詠唱から発動への時間が短すぎる気がするな・・・もしかしたらシステムの認識が及ぶギリギリで唱えているのか・・・?それなら納得するが、無茶苦茶にもほどがあるだろ・・・」

ここにルナやアスナあたりがいたのなら、あなたも大概よという突っ込みを入れていただろうが、悲しいかな、その当人たちは今ここに存在しない。
一気に約半分を倒したルシフェルは残るウンディーネプレイヤーとテリュスに向かって口を開いた。

「まだ、やるのか?」

「あ、当たり前です!先ほどのようなものはまぐれに決まっていますっ!?」

明らかに虚勢だということが丸解りな態度だが、逃げる者は一人もいなかった。その度胸をもっとほかに向けろよとソレイユは心の中で突っ込む。
対してルシフェルは一度大きく溜息を吐くと、再びスペルワードを唱えていく。

「エンチャント:ブラック・ライトニング」

普段なら魔法名は詠唱する必要はないのだが、ルシフェルが聞き覚えのない魔法名らしきものを唱えた瞬間、ルシフェルはオーラらしき何かを纏った。それを見たテリュスは驚愕の表情でヒステリックに叫んでいた。

「ば、ばかなっ!?なぜ貴様のようなやつがそれを持っているんだっ!?そ、それは・・・その魔法はぁ・・・っ!?」

「≪ストリーク・デス≫」

その魔法名が紡がれると、テリュスたちの上空に暗雲が立ち込め、そこから複数の黒い雷が降り注いだ。それを防ぐ術がないテリュスたちはなすすべなく直撃を受ける。雷が止むころには全員仲良くエンドフレイムと化していた。
 
 

 
後書き
なーんか・・・ものすごく嫌な予感がする・・・

ルナ「具体的には?」

・・・いや、言わないでおく・・・

ルナ「まぁ、いろいろ無茶な設定が出てきたもんねー」

・・・言わないでくれ・・・シルフ五傑が実在するならほかの種族もあるんじゃね?なんて思った私がバカだったんだ・・・

ルナ「ジェネシアスと言い、なんであなたはこんなへんてこな設定にこだわるの?」

中二病だからさっ!!!

ルナ「そこは断言するんだ・・・」

まぁ、そんなことはさておき・・・感想などお待ちしております! 
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