神々の塔
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第六十八話 高位の神霊達その七
「ほんまに人襲って」
「血を吸ってやな」
「殺すけど」
「それでもやな」
「妖怪は自分のとこに来た人を襲うだけやけど」
「魔王は国全体に祟ってやな」
「禍を為すから」
そうするからだというのだ。
「ほんまに」
「怨霊つまり魔王の方が怖いな」
「それもキリスト教の魔王よりも」
「色々な邪神よりも」
「怖いね」
綾乃は羅に真顔で話した。
「うちが思うに」
「そやねんな」
「人の怨念はそこまで怖いねん」
綾乃は曇った顔で語った。
「そやから平安京も物凄い結界が張られてるし」
「怨霊を防ぐ為に」
「何かあれば静めることしてるし」
社を建立し祭事を行ってだ。
「ほんまにやで」
「恐れてるんやな」
「そやねん」
まさにというのだ。
「日本では」
「それやとな」
羅は綾乃の話を聞いて真剣な顔になって言った。
「この世界を脅かす危機も」
「怨念かも知れへんとやね」
「今思ったわ」
実際にというのだ。
「若しやってな」
「そやねんね」
「人が怨霊になって魔王となれば」
「国すら脅かすし」
「それやとな」
「この世界を脅かす魔王が存在していても」
「おかしくないか」
こう綾乃に言うのだった。
「ほんまな」
「その可能性は否定出来へんな」
シェリルも深刻な顔で述べた。
「私も日本に来てな」
「それからやな」
「それまでも幽霊は知ってた」
この存在はというのだ。
「オーストラリアでもそうした話あるし宗主国さんなんてな」
「イギリスな」
「兎に角幽霊の話が多くて」
世界一幽霊の話が多い国とさえ言われている、その為心霊スポットは数え切れない程存在している。
「シェークスピアさんの作品でも」
「ああ、ハムレットとかな」
「マクベスでもリチャード三世でも出て来るし」
「あの人の作品でも多いか」
「どうも幽霊好きやったみたいで」
シェークスピアという作家はというのだ。
「何かとな」
「出て来るか」
「それで知ってておるとも思ってたけどな」
「それでもか」
「日本に来て」
そうしてというのだ。
「怨霊の怖さを知ったわ」
「そうなったか」
「ほんま魔王にすらなって」
怨念があまりにも強いと、というのだ。
「国すらも脅かす」
「ひいては世界もやな」
「もう名前を出すのも恐ろしい」
そこまでのというのだ。
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