ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百二十八話 人は強くなってもその十三
「悪の瘴気がど真ん中からどんどん出ていたら」
「意味ないわね」
「だから巨人は本拠地を平壌に移して」
そうしてというのだ。
「ずっとビジターで日本でよ」
「野球すべきね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「あのチームはね」
「本当にそうよね」
留奈もその通りだと頷いた。
「平壌読売ジャイアンツ」
「いい名前よね」
「それであれね」
留奈はさらに言った。
「入場の時は行進」
「あの変な行進ね」
「そう、あの行進で入るのよ」
留奈はその行進を真似てみせつつ話した。
「これでね」
「それインパクトだけあるわね」
「自衛隊の行進の方がずっと恰好いいけれどね」
「けれどインパクトだけはあって」
「一回見たら忘れられないわね」
「あの行進で出て来るのね」
「巨人にお似合いでしょ」
「ええ」
北海道の娘は笑ってその通りだと答えた。
「本当にね」
「それで勝ったら泣いてオーナーを賛美するのよ」
「あの国そのままに」
「ついでに言うと本拠地の前にオーナーの銅像」
「ばかでかい」
「それを置くのよ」
平壌のそこにというのだ。
「それでやたらオーナーをね」
「賛美するのね」
「個人崇拝してね」
「まさに北朝鮮みたいに」
「それでアホみたいなトレーニングもするのよ」
「あそこの軍事訓練みたいな」
「白マントも羽織って」
そうもしてというのだ。
「トレーニングするのよ」
「あのマントね」
「雪の中で戦う為らしいけれど」
北朝鮮の軍隊で用いているものである、寒冷地にある国であるので雪の中で戦うことも想定しているのだ。
「お金がなくて」
「それであのマントね」
「真っ白な」
「あれで隠れるのね」
「そう、そのマントを羽織ってね」
留奈はそれでと話した。
「是非ね」
「トレーニングして欲しいのね」
「寒くて食べものも設備もない」
「そこが巨人の本拠地ね」
「あそこ以外ないでしょ」
「東京にいられるとね」
まさにそれだけでとだ、北海道の娘は言った。
「それだけで悪の瘴気放つから」
「迷惑だからね」
「もうね」
それこそというのだ。
「本拠地は平壌」
「他はないわね」
「というかね」
「というか?」
「いや、何で盟主よ」
北海道の娘は巨人のこの自称について実に嫌そうな顔で言った。
ページ上へ戻る