金木犀の許嫁
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第十八話 忍の家その十三
「そうだから」
「怨霊は怖いのね」
「日本で一番」
そう言っていいまでにというのだ。
「怖いかも知れない」
「妖怪よりも」
「妖怪は愛嬌あったりするから」
だからだというのだ。
「いいけれど」
「怨霊は違うのね」
「妖怪はうちの学園にも多いけれど」
「あちこちにあるわね」
「そうしたお話が」
八条学園にはというのだ。
「あるから言うけれど」
「妖怪は愛嬌があって」
「そして親しみやすいけれど」
それでもというのだ。
「怨霊は違って」
「物凄く怖くて」
「日本全体にも害を脅かすから」
「妖怪でそれはないわね」
日本全体に害を及ぼすことはというのだ。
「確かに」
「そう、だから」
それ故にというのだ。
「本当に」
「怨霊の方が怖くて」
「妖怪よりも。そして」
「一番怖いのね」
「そうかも知れない。憎しみや怨みに心を支配されたら」
そうなると、というのだ。
「復讐鬼になるか」
「怨霊になって」
「そして魔王にもなりかねないから」
「復讐鬼もなのね」
「そう」
そう呼ばれる存在もというのだ。
「だから」
「それでなのね」
「そうもなるから」
だからだというのだ。
「気を付けないといけないって」
「佐京君思ってるのね」
「そう。幸村様は違ったし」
家の主だった彼はというのだ。
「そして幸雄さんも」
「あの人もなのね」
「そうだし。俺は絶対に」
「憎しみや怨みは」
「持っても」
それでもというのだ。
「大きくなり過ぎない様にしないと」
「駄目ね」
「そう思う」
心からというのだ。
「本当に」
「そうね」
夜空も頷いた。
「そうでないとね」
「人は駄目」
「復讐鬼にも怨霊にもならない」
「なったら終わりだから」
「その言葉覚えておくわね」
夜空はこう言ってだ、そのうえで。
佐京と一緒に歩いていった、そうして学校に行くのだった。
第十八話 完
2024・3・15
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