屋根裏にいたのは
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第一章
屋根裏にいたのは
最近暮らしているアパートの屋根裏が騒がしくてだ、大学生の因幡樹生一七八の背で太い眉にきらきらした黒い目と長い睫毛にきりっとした口元を持ちセットした黒髪と痩せた身体が印象的な彼は大学で友人に言った。
「古くてもな」
「騒がし過ぎるか」
「ああ、どうもな」
「鼠か?」
「多分な、それで今度な」
因幡はさらに言った。
「大家さんが鼠の駆除にな」
「バルサンみたいなの炊くか?」
「いや、毒入りの餌を屋根裏に置くらしいんだ」
「そっちか」
「それでな」
その餌で以てというのだ。
「駆除するらしいな」
「そうなんだな」
「いや、鼠もいてもな」
因幡はどうかという顔で話した。
「多くないとな」
「問題ないか」
「いるものだしな、どうしても」
「古いアパートだとか」
「ああ、けれどな」
「多過ぎるとか」
「五月蠅いからな」
屋根裏で動き回ってというのは言うまでもない。
「だからな」
「それでか」
「駆除するんだよ、これで静かになったらな」
「鼠がいなくなってか」
「いいな」
友人と一緒に大学の食堂で昼食を食べつつ言った、二人共食べているのはハヤシライスであった。丁度安かったのだ。
そして後日だった。
大家は実際に屋根裏に毒入りの餌を置いた、だが。
因幡はその部屋、一人暮らしのそこに来た友人に一緒に飲みながら話した。
「鼠じゃなかったよ」
「いたのはか」
「ああ、妖怪がいたんだよ」
「妖怪?」
「天井下がりっていうな」
「ああ、天井から出て来て顔を舐める」
友人は天井下がりと聞いて言った。
「あの妖怪か」
「それがいてな、どうも大家さんが屋根裏に入ったら」
その時にというのだ。
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