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神々の塔

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第六十七話 竜殺しの英雄その十三

「八岐大蛇もドラゴンやしな」
「蛇になって手も」
「そっちに区分されるやろ」
「ブレスも使うし」
「それでや」 
「頑張ってもらうんやね」
「大蛇にもな、無論敵の防御力は下げるわ」 
 ジークフリートの絶対とまで言っていいそれはというのだ。
「しっかりとな、しかし」
「下げてもやね」
「元が凄いからな」
「それでも防御力高いし」
「それでや」
「弱点を衝くんやね」
「綾乃ちゃんの大蛇はほんま決戦兵器や」 
 そう言っていいものだというのだ。
「八つの頭での術とブレスはほんまに強い」
「軍同士の戦でも頑張ってくれてるし」
「モンスターそして神霊さん達との戦でもな」
 こちらでもというのだ。
「強いさかいな」
「その戦力をやね」
「用いてな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「倒すんやね」
「そや、やるで」
「わかったで」
 綾乃は芥川の言葉に笑顔で頷いた、そしてだった。
 綾乃以外の九人でジークフリートを正面から攻めた、全力でそうして彼の気を全て自分達に向かわせてだった。
 綾乃はそこで彼が後ろにまで気を向けなくなった瞬間にだった、その後ろに回って術を放ち大蛇に告げた。
「ほな今から」
「はい、この八つの頭で以て」
「渾身のブレスを吐きます」
「炎も吹雪も」
「その全てを」
「宜しゅう頼むで」
 こう大蛇に告げた、すると。
 大蛇はブレスでジークフリートの背中を撃った、するとさしもの竜殺しの英雄もだった。
 片膝を着いた、そのうえで言った。
「私の負けだ」
「勝ったんですね、うち等」
「見事だった、私の背中のことを知っていて」
「衝かせてもらいました」
「無論私もわかっている」
 前に来た綾乃に立ち上がって答えた。
「自分の弱点はな」
「そうですか」
「しかしな」
 それでもというのだ。
「私に正面に集中させて」
「そしてです」
「背中のことをおろそかにさせてか」
「そこを衝かせてもらいました」
「見事な戦い方だ」
 ジークフリートは笑ってこうも言った。
「褒めさせてもらう、それでだ」
「これからですね」
「上の階に行くといい」
「そうしてええですね」
「私達全員に勝ったのだからな」
 そうであるからだというのだ。
「是非だ」
「上の階に登って」
「先に進むのだ」
「そうさせてもらいます」
「やがてそれぞれの神界の主神達も出て来るが」 
「そうなりますか」
「勝ってな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「先にですね」
「進むのだ」
 こう言うのだった。
「いいな」
「それでは」
「勇気と知恵があれば」
 この二つがというのだ。
「人はことを為せる、ではな」
「はい、これからも」
「先に行くのだ」
「そうします」
 綾乃も頷いて応えた、そうしてだった。
 一行はまずは宿屋に戻った、そのうえで一旦祝杯を挙げて身体を休めた。そうしてさらに先に進むのだった。


第六十七話   完


                   2024・3・23 
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