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金木犀の許嫁

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第十七話 生まれ変わりならその十

「大蒜を多く使って頂けるなら」
「お料理に」
「嬉しいです」
「じゃあこれから作っていきますね」
「それでは、ただ」
 ここでだ、幸雄は微笑んで夜空にこうも言った。
「私ではなく家族全体を考えて作って下さい」
「五人全員のですか」
「私は居候ですので」
 この立場だからだというのだ。
「むしろあまりです」
「気を使わない」
「そうして頂けますと」
 それならというのだ。
「有り難いです」
「そうなんですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「ここは」
「そうですか」
「そしてです」
 さらに言うのだった。
「皆で仲よく平等に」
「暮らしていくことですか」
「ご先祖様はお食事は十一人の時は」
「十勇士の方々と一緒の時は」
「常にです」
 それこそというのだ。
「お食事は同じものを公平に分け合って」
「召し上がられていたんですか」
「主従でありますが」
 その間柄だけでなくというのだ。
「義兄弟であり友であったので」
「死ぬ時と場所は同じと誓い合った」
「そうであったので」 
 だからだというのだ。
「そこはです」
「しっかりとですね」
「守っていまして」
「幸雄さんもですか」
「贔屓したりされたりは嫌いです」 
 そうだというのだ。
「ですから」
「平等ですね」
「家族には血縁の間柄と年齢がありますが」
 その順序がというのだ。
「同じ人間である」
「そのことを忘れてはいけないですね」
「ですから食べもの等はです」
「平等かつ公平ですね」
「その様に分け合ってです」
 そうしてというのだ。
「一緒に食べまして」
「楽しむことですね」
「そうです」
「あの」
 佐京がここで幸雄に言ってきた、がんもどきを食べてそれから日本酒を飲んでそのうえで彼に言うのだった。
「よく兄弟姉妹の一人だけを贔屓する」
「そうした家庭もありますね」
「誰が優秀だの可愛いだので」
「それは間違いです」 
 幸雄は佐京にもきっぱりと言い切った。
「絶対にしてはなりません」
「そうしたことは」
「兄弟姉妹で誰かだけを贔屓しますと」
 そうすると、というのだ。 
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