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熟年離婚

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第二章

「うちで一緒に暮らそうってね」
「声かけてくれたのね」
「それで今こうしてよ」
「一緒に暮らしてるのね」
「お母さんだからね」
 そうであるからだというのだ。
「そうしているのよ」
「そうなのね。嬉しいわ」
「そこで嬉しいって言ってくれることがよ」
 母は娘に笑顔で言った。
「いいのよ」
「けれど私は家事出来るから。一人暮らしもね」
「出来るわね」
「お父さんはね」
 父との一人暮らしをする選択肢もあったというのだ。
「けれど私なのね」
「お父さんは駄目よ」
 娘はキッとした顔になってキッパリとした口調で言い切った。
「絶対にね」
「一緒に暮らしたくないの」
「お仕事してるからって家事は何もしないで」
 そうした父親でというのだ。
「機嫌悪いと家族に当たり散らして威張っていてね」
「そうした人だから」
「それであれしろこれしろで」
 そうであってというのだ。
「自分が言われると反論してすぐに誰彼なく否定して」
「昔からああだったのよ」
「そんなお父さんとはね」
 絶対にと言うのだった。
「ずっと我慢していて」
「それでよ」
「もう決めていて」
「それをしたのよ」
「離婚をね」
「変わるかもって思っていたけれど」
 夫がというのだ。
「やっぱりね」
「変わらなかったわね」
「変わったって言えた変わったけれど」
「悪くよね」
「余計にね」
「性格悪くなっていったわね」
「歳を重ねるごとにね」
「そうよね、私が見てもね」
 どうだったかとだ、娘として答えた。
「お父さんってね」
「どんどん性格悪くなっていったでしょ」
「ええ、これはもうね」
 佳穂理は明子に言った。
「私じゃ無理ってね」
「そうでしょ」
「頑固で人のお話聞かなくて」
「それで威張ってね」
「自分は何もしないでね」
 そうであってというのだ。 
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