黒歴史
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第一章
黒歴史
刑部栞は黒髪をおかっぱにしていて細い目と眉を持っている、鼻は高く唇は薄い。背は一五五位で普通のスタイルだ。
その彼があるライトノベルを読んでだ、こう言った。
「ないわ、これは」
「どうしたの?」
「いや、このラノベよ」
クラスメイトで親友の湯上理恵細面で黒髪を長く伸ばし小さな目と唇にやや太い眉を持ち一五七位のすらりとしたスタイルの彼女に言った、グレーの短い制服にネイビーブルーのブレザーに青と白のリボンと白いブラウスの制服である。
「この設定ないわ」
「ああ、異世界ものね」
「異世界に転生してね」
そうしてというのだ。
「主人公が無双してね」
「無敵なのね」
「しかも女の子にモテモテで」
それでというのだ。
「どんどんお金と地位を得ている」
「最近そうしてお話多いわね」
「有り得ないわよ」
読みながら笑って言うのだった。
「そりゃファンタジーだから現実味はね」
「なくて当然よね」
「魔法使えてエルフやドラゴンが出て」
そうしてというのだ。
「貴族になることもね」
「ファンタジーだったらあるわね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「現実味ないわよ、SFでも無双あるけれどね」
「さすおにな展開ね」
「だからね、異世界転生無敵主人公なんて」
それはというのだ。
「リアリティなさ過ぎよ、お話として面白くても」
「現実は有り得ないのね」
「そうよ、若しこんな人実在したら」
そうであるならとだ、栞は理恵に明るく笑って話した。
「私あんたにパフェ奢るわ」
「そうしてくれるの」
「そうするわ」
笑ったまま言うのだった。
「ついでに私も食べるけれどね」
「言うわね、まあ確かにこんな無敵主人公いないわね」
理恵も笑って話した。
「現実では」
「異世界でないとね、しかし最近こうしたお話多いわね」
「異世界転生がね」
「お百姓さんになったり剣になったりもして」
そうした作品もあってというのだ。
「中には豚にもね」
「転生する作品あるわね」
「けれど大体万能でモテモテよね」
「そうしたのばかりね」
「そんなピッチャーもバッターも出来て」
栞は今度は野球に例えて話した。
「しかも一六五キロ投げて変化球は鬼でパワーヒッターで守備も足も凄い」
「それ無敵よね」
「そんな無敵主人公なんてね」
「いないわね」
「そうよ、いる筈がないわ」
こう言うのだった、兎角だった。
栞は異世界に転生し無敵で多くの女性キャラを魅了する主人公を否定していた、あまりにも非現実的であると。
そうしながらもそうした作品を読んで楽しんでいた、だが。
日本ハムファイターズのその選手を目にしてだ、栞と共に思わず目を剥いた。
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