舌の先から吸う
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第一章
舌の先から吸う
アスカ=イェシェンは母親がポーランド人父親が日本人のハーフである、色白で大きな切れ長の知的な感じの黒い目で黒髪を肩まで伸ばし左右の付け根を縛ってまとめている。やや面長の顔で穏やかな感じの顔で背は一五七位だ。身体はすらりとしている。
八条学園高等部一年生で成績優秀だが二つ上で同じ学園に通っている彼の兄はトップクラスなので実は兄よりもと思いつつ勉学に励んでいる。
その彼女がクラスで日本人の友人達に言った。
「日本山多くていいわね」
「あんたよくそう言うわね」
「ポーランドは平地ばかりだって」
「そうね」
「実際にそうだから」
ポーランド生まれとして友人達に答えた。
「生まれがそっちで今も夏休みとかには帰るけれど」
「山がなくて」
「平地ばかりなのね」
「それで海があっても」
アスカは今度はそちらの話をした。
「北にちょっとだけよ」
「バルト海ね」
「あの海ね」
「冬凍るね」
このことを言うのも忘れなかった。
「それで渡れるから」
「氷の上を歩いて」
「そうして」
「そうよ、実際スウェーデンそうしてデンマークに攻め込んでるし」
ポーランドから見て海を挟んで北にあるこの国がというのだ。
「あまりね」
「海って実感ないのね」
「そうなのね」
「日本程ね、山があって海も豊富って」
そうした地形はというのだ。
「いいわよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「神戸にもいるでしょ」
アスカは自分達が通っている学校がある街の話もした、尚アスカは寮から学校に通っている。
「山に妖怪が」
「ああ、牛女ね」
「それと四つん婆もいるわね」
「両手両足で高速道路走る」
「あの妖怪もね」
「山が多いだけあって」
そうした国であるからだというのだ。
「山の妖怪多いわね」
「山姥とかね」
「確かに多いわね」
「雪女もそっちの妖怪って言えるしね」
「山にも出るし」
「それと海にもでしょ」
こちらの話もした。
「妖怪多いわね」
「海坊主とか船幽霊とか」
「あとイクチとか?」
「四方海に囲まれた国だしね」
「確かに多いわね」
「そうでしょ、それでこっちに来て驚いたのは」
それが何かというと。
「どっちにも吸血鬼いることよ」
「ああ、吸血鬼ね」
「あんた東欧だから本場よね」
「ルーマニアだけじゃなくて」
「ポーランドにもいるのよね」
「そうよ、それで日本は山にも海にもいるから」
吸血鬼がというのだ。
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