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神々の塔

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第六十六話 御仏の教えその十二

「安心してくれ」
「ご主人様は四智星のお一人です」
「星のモンの中でも知恵を出すな」
「そうしたお立場ですので」
「頭に血が上るとな」
「やはりです」 
 どうしてもというのだ。
「いけません」
「その通りや、それでや」
「武者篩をされても」
「それでもな」
「冷静であられるので」
「安心してくれ」
「はい、それでは」
 狐は主に応えた。
「これより」
「氷と水の属性でな」
「向かいますね」
「そうするで、確かに不動明王さんの炎は強い」
 今も彼が背負っているそれはというのだ、文字通り紅蓮に燃え盛りそれだけで周りを威圧している。
「しかしな」
「無敵ではないですね」
「炎、火も属性でな」
「相反するものには弱いです」
「そやからな」
「火と相反する氷と水で、ですね」
「攻めるで」
 こう言ってだった。
 芥川は自身の神具である三光手裏剣に氷を宿らせそのうえで不動明王に放った、他の者達も神具に氷や水を宿らせてだった。
 攻撃をし氷や水の術も放った、そうして不動明王を倒すと明王は満足した笑みを憤怒の顔に入れて言った。
「よくやった」
「はい、これでですね」
「及第だ」 
 綾乃にその笑顔で話した。
「まさにな」
「それで、ですね」
「上に行くのだ」
 上の階にというのだ。
「いいな」
「はい、ほな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「一階ずつでもな」
「確実にですね」
「上に進み」
「踏破ですね」
「そうするのだ、この塔に入ったなら」
「絶対にですね」
「踏破するのだ、いいな」
 こうも言うのだった。
「確実に」
「そうします」
「それではな、では行くのだ」
「これからも」
「期待している」 
 明王はこうも言った、そしてだった。
 宿屋に一泊しそれから上に進む一向にだ、明王達は憤怒の相性に笑みを浮かべて見送った。一行はそれを受けつつ先に進んだのだった。


第六十六話   完


                  2024・3・15 
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