シャチのお願い
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第一章
シャチのお願い
「キュウ」
「あれっ、シャチ?」
「シャチの子供?」
オーストラリアシドニー沖でクルージングと釣りを楽しでいたボートの傍にシャチが来た、見ればだった。
まだ子供だった、それで船長のトーマス=キューストン黒髪で黒い目に彫のある顔の大柄な彼は言った。
「何か助けを求めてるな」
「わかります?」
「そうなんですか?」
「この子は」
「ああ、イルカや鯨がこうした動きをする時はな」
船に乗っている面々に話した。
「そうなんだよ」
「そうですか」
「こうした時は助けを求めていますか」
「そうなんですね」
「そうだよ、シャチも鯨だしな」
そちらに分類される生きものだというのだ。
「だからな」
「それならですね」
「同じ行動を取りますね」
「イルカや鯨は」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「ここは助けるか」
「助けを求めてるなら」
「それならですね」
「ああ、そうしよう」
キューストンがこう言うとだった。
彼はすぐにシャチに告げた、するとシャチは彼の言葉がわかったのか。
船の先を泳ぎだした、それを受けてだった。
キューストンは船をシャチが進む方に向けた、すると。
「漁業用のロープですね」
「それがありますね」
「そして」
「絡まってるな」
見ればだった。
大きなシャチ、母親と思われるシャチがそのロープに絡まって動けなくなっていた。そしてかなり弱っていてだった。
周りに小さな子供と思われるシャチ達がいて必死に支えていた、キューストンはその状況を見て言った。
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