裏方あってこそ
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第二章
「皆と一緒にね」
「働かれて」
「声をかけられて」
「歌劇場のホームページでも紹介してくれますか」
「歌手やオーケストラや指揮者の人達だけでなく」
「私達まで」
「劇場は歌手やオーケストラだけじゃないよ」
こうも言うのだった。
「指揮者だけでもね」
「私達もですか」
「身体動かして雑用する」
「そんな仕事もあってですか」
「そうだよ、君達がいてこそ」
それでこそというのだ。
「劇場はやっていけるんだ、いい舞台もね」
「それもですか」
「私達がいてこそ」
「それで、ですか」
「やっていけるから」
だからだというのだ。
「本当にね」
「私達と一緒に働いて」
「声をかけてくれて大事にしてくれて」
「お給料も弾んでくれて」
「他の待遇もよくしてくれてますか」
「ホームページでも一人一人紹介してくれるんですね」
「光の当たらないと言われるお仕事と言われても」
それでもというのだ。
「そのお仕事があってこそやっていけるんだ」
「そうなんですね」
「それで、ですね」
「私達と一緒にですね」
「働くよ、それが私の考えだから」
笑顔で言ってだった。
小河は裏方と言われる者達と共に汗を流し彼等を大事にした、すると彼等はその彼に応えて仕事に励んでだった。
歌劇場はこれまで以上によくなった、彼が音楽監督になってからただ歌手やオーケストラや指揮者がいいだけでなく。
「舞台全体がいいな」
「歌劇場の設備も」
「掃除も隅から隅まで行き届いているし」
「これまで以上にいい劇場になったな」
「本当に」
観客達からも好評だった、そして欧州屈指の歌劇場との評価は欧州一となった。だが小河はそのことに驕らず。
これまで通り働いていった、その彼を誰もが褒め称えた。最高の音楽監督であると。
裏方あってこそ 完
2024・4・21
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