| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

本編
  二十七話~決戦――地上

side クロノ


「約三時間、か…………」


ユーノからの説明でゆりかごが二つの月の軌道上、に上がられると手が付けられなくなる、と言われた。それまでの時間が約三時間。対して、次元航行部隊がミッドに着くまで三時間半。


「六課の面々に頼るしかない、か……」


世界の危機だというのに何もできない、それが何とも歯がゆかった。



side ティアナ


「うわっ!」


現場に向かっていた私たちのヘリはガジェットⅡ型に襲われていた。


「ちいっ!アルト!操縦変われ!!」
「は、はい!」


ヴァイス陸曹とアルトがなぜか一緒に乗ってきていたのはこういうことだったのだ。


「いけるな?ストームレイダー」
[当然です]


ヘリを追いかけてきていたⅡ型5機を瞬く間に撃ち落とすヴァイス陸曹。


「俺はよ、自分のミスで身内を傷つけたことにビビッて逃げてた情けねえ野郎だ。でもよ、そんな情けねえ俺にもお前らのために道を作ってやるくらいはできんだよ!」


さあ、ヴァイス陸曹の思いに、師との誓いを果たすために、私は戦場へと向かう。


「行って来い!」
「「「「「はい!」」」」」



side チンク


「来たようだな」


私達に対する迎撃戦力は………5人。


「あたしはセカンドとやる」
「あたしはオレンジの髪の奴とやるッスよ~。ちびっこたちの相手はルーお嬢様がしてくれるみたいっすから」
「僕とディードは援護に回るよ」
「そうだな。ディードの武装は間に合わせの急造品だ。オットーの護衛に回ってくれ。姉はファーストの相手をしよう」


しかし、衛宮士郎が来なくてよかった。あいつが来ていたら私たち全員10分足らずで無力化されていただろう。
奴とはそれほどまでに実力が違う。奴の相手はガジェットが一番だ。時間稼ぎさえできればよいのだからAMFを使え、数が多いガジェット以上の適任はいない。
それに、こいつら相手ならば1対1で私たちが負ける可能性はほとんどないからな。


「では行くぞ!」
「「「「はい!」」」」



side スバル


「君があたしの相手?」
「ああ」


この子たちがなんで戦うのかはわからないけど、あたしは守りたいもののために負けるわけにはいかない。


「あたし、機動六課スターズ分隊のフロントアタッカー、スバル・ナカジマ二等陸士!君は?」
「……ナンバーズ9、ノーヴェ」


名乗り合った後、彼女、ノーヴェが動いた。
接近してラッシュを仕掛けてきた。しかし、ランスさんのラッシュと比べればこの程度、


「遅いよ!」
「なあっ!」


蹴りをかわし、そのまま足を掴む。そのまま振り回し、投げる。
この一連の攻撃は何度もランスさんにやられたことがあるから効果は折り紙つきだ。


「このや、ろ!?」


案の定バランス感覚が崩れ、ふらつく。
これが続くのはせいぜい10秒と言ったところだが、戦闘時の10秒と言うのは致命的だ。
ふらついたノーヴェと距離を詰め、


「もらったよ!ディバイーン………」
「しまった!」
「バスター!!」


至近距離からの砲撃を喰らわせた。これならダメージは大きい。立てたとしても満身創痍のはずだ。
そして、煙が張れる。そこには………


「え?」


ノーヴェの姿は、なかった。



side ノーヴェ


「全く、油断しすぎだよ」
「う、うるせえな!オットー!」


ナカジマの砲撃を喰らった、と思ったあたしを助けたのはオットーのISレイストームだった。
シールドを張って砲撃を防ぎ、光の紐で救出されたのだ。


「助けてもらっといてそれはないんじゃないかな?」
「く、……あ、ありがとよ。でも次は油断しねえ」
「助かるよ。どうやら……あっちがもっとまずいことになってるみたいだからね」


オットーの視線の先にはウェンディが戦っているであろう場所が。


「もう油断はしねえ。全力でぶっ潰す!」


あたしはエアライナーを展開し、ナカジマの元へと戻った。




side ティアナ


「……そろそろ降参してほしいんだけど?」
「誰が……そんなことするッスか!」


そういってまた空へと上がる私の相手。
もしかして馬鹿なのだろうか?


「キャプチャーシュート、全方位展開……ファイア!」


新技、キャプチャーシュートを使い、あの子を追い詰める。
この技は極薄の魔力の膜を纏わせ、弾丸型に固めたチェーンバインドを放ち、進むうちに魔力の自然な拡散により固められていたチェーンバインドで相手を捕える、と言う技だ。


魔力消費が若干多いが、かなり避けづらい技であることは間違いない。あのランスさんを初見とはいえ捕えたほどの技だ。その後すぐに破られはしたが。


「くっそー!また捕まったっスー!!」


この子は本当に気が付かないのだろうか?
この技は地上の方が避けやすい、という事に。
相手が空中にいればそれだけで上下左右と弾数を増やせる。
この技は弾数が増えるほどその真価を発揮するのだから。


「そろそろ終わらせましょうか。クロスファイアー………!!」


私は身の危険を感じ、咄嗟に飛びのいた。そして私が飛びのいた直後爆発が起きた。
さっきまで私がいた場所には二本のブレイドを持った戦闘機人がその攻撃で作ったであろうクレーターと共に、


「よく躱しましたね」


私に賞賛を送ってきた。


「生憎あの程度の奇襲じゃあ驚かないような訓練してますから!」
「そうですか、それでは………ここからは2対1とさせていただきましょう」


そして状況は私に不利に傾くのであった。



side エリオ


「どうしてこんなことを!!」


僕は目の前の女の子と、その召喚獣ガリューに語りかける。


「…………………」
「黙っていたら何も変わらないよ!話せばわかり合えるよ!」


キャロが説得する。


「……ドクターの、お願いだから……このお祭りが終われば私の探し物、レリックの11番を探すのを手伝ってくれるから………」
「そんなことのために?」
「そんな、こと?」


突如女の子の纏う雰囲気が変わる。
そして大量の魔力弾をキャロに放った。


「キャロ!」
「……きゃあ!」


耐えきれずに魔力弾を喰らい、弾き飛ばされたキャロに


「あなたにとってはそんなことでも、私にとっては大事なこと。そうすればお母さんが目を覚まして、私は不幸じゃなくなる」
「そうじゃない、探し物の事じゃないよ!」


キャロは必死に訴えるが、


「あなたと話すの、嫌い」


再び魔力弾を飛ばしてくる。あの量はまずい。キャロでは防ぎきれない。そして僕自身はガリューに足止めをされ、動くことはできない。手詰まり…………いや、違う。一つだけ方法がある。


新技……使えるか?
いや、迷ってはダメだ。ここでやらなくていつやるんだ!


「ストラーダ!カートリッジ!」
[Exprosion!]


ここで決めなきゃ、男じゃない!!


「オーディーン!」


叫びと共に魔力を集めた手からストラーダを投擲した。
紫電をまき散らして前進するストラーダと魔力弾がぶつかり、爆発を起こす。その一瞬でわずかに隙を見せたガリューを蹴り飛ばし、ストラーダを回収、キャロの元へと戻った。


「ありがとう、エリオ君」


お礼を言うキャロ。だが、


(今はそれよりやることがあるでしょ?)
(……!うん、そうだね!)


僕の念話で気が付いたのか、真剣な表情になったキャロは、


「私、アルザスの竜召喚士、管理局機動六課の魔導士キャロ・ル・ルシエ!」
「同じくエリオ・モンディアルと、飛竜フリードリヒ!」
「話を聞かせて!レリックの事も、お母さんの事も、私たち機動六課みんなが協力するから!!」
「……私は」


ようやく話を聞いてくれる、と思った時、


「あ~ら、だめですよ、ルーテシアお嬢様」
「クアットロ……」


一人の戦闘機人が通信で割り込んできた。


「こいつらは敵。話なんかしないでぶち殺せばいいんです。お嬢様にはこの後防衛ラインの突破やライフラインの破壊などやってもらうことがいーっぱいあるんですからね」
「でも、私……」


嫌な予感がする。この戦闘機人が何かとてつもなく非道なことを考えている、と言うのが直感で分かった。


「大丈夫ですよ~。お嬢様には、クアットロがとーっても素晴らしいプレゼントをあげますから、安心してください」
「え?……ううっ!」


突然苦しみだしたルーテシア…そして彼女の足元には戦闘機人がISを使用する際に現れる魔法陣が。
そして大量の召喚獣が現れた。


「さあ、お嬢様、そこにいるのはお嬢様の敵。そいつらをぶち殺さないとお母さんが目を覚ましませんよ~?」


僕の最悪の予想は当たった……ルーテシアは洗脳されたのだ。


「………インゼクト…地雷王…ガリュー……」
「ルーちゃん!」


キャロの呼びかけにも答えない。


「殺して……………こいつらを、殺してえええええ!!!!」


最悪の状況が生まれてしまった。


(エリオ君、どうしよう?)
(時間を稼いで。僕が作戦を考える!)
(うん!)


考えるんだ!あの人ならどうするか、憧れの槍使い(ランスさん)ならばどう切り抜けるかを!!


side チンク


「まさかまたあなたと戦うことになるとは思わなかったわ」
「同感だ。だが、今回も私が勝つ!」
「どうかしらね!!」


私の相手はまたしてもファースト。情報によれば衛宮士郎はゆりかごに向かっている。今回はサポートしてくれるのがオットーだけだが、それでも十分だ。


「IS発動!ランブルデトネイター!!」


12本のナイフを投擲、爆発させる。が、


「効かないわよ!」


無傷で切り抜けられ、こちらに迫られた。が、


「ナイフだけと思うな!」
「!?」


足元に転がっていた鉄パイプを爆発させる。おかげでまた距離が開いた。


「……近づけば私の、離れればあなたの領域、ってわけね」


ファーストがそんなことを言う。


「確かにそうだな。……だが!」


今度は16本投擲。


「近づかせなどせん!」


着弾し、爆発。確かにとらえたが……
油断せず、煙が張れるまで構えているが……


「いない!?どこへ………」


と、後ろからかすかなモーターの音が聞こえる。


「ここよ!」
「くっ!」


気づいていたおかげでギリギリ避けることが出来たが………


「やる、な……」
「あなたこそ……ね」


お互いに一層警戒を強めることになった。それに、こいつとわたしはほぼ互角。ならば先に増援が来た方が勝つ!そう思いオットーに通信をする。


(オットー、チンクだ。応援を頼みたい)
(チンク姉さま、正直それどころじゃない。幻術使いが思ってた以上に厄介でね、僕も今そっちにいるんだ。なるべく早めに倒すからなんとか耐えてて)


なるほど、それならば……


「逃げる気!?待ちなさい!」


移動を開始した私を追ってきた。そうだ、それでいい……
これで均衡は崩れるはずだ……



side アギト


「止まってください」


旦那と共に地上本部に向かっていると長髪の騎士とバッテンチビがいた。


「中央本部を落としに行かれるおつもりですか?元首都防衛隊、ゼスト・グランガイツ殿」
「……古い友人に、レジアスに会いに行くだけだ。……お前は?」
「本局機動六課所属、シグナム二等空尉です。前所属は首都防衛隊……あなたの、後輩です」
「……そうか」


しばしの沈黙。


「中将に会いに行くのは、復讐のため、ですか?」
「言葉では言い表せんよ。道を、開けてもらおう」
「言葉にしてもらわねば、譲れる道も譲れません!」


騎士が剣を抜く。その剣は……炎を纏っていた。


「……えっ?」
「どうした、アギト」


旦那に感づかれてしまったかもしれない。あの騎士が、アタシの理想のロードの条件に酷似しているかもしれない、と思ったことを。


「何でもねえよ!ごちゃごちゃと言うなんて騎士のすることじゃあねえ!」
「騎士だとかなんだとか、そんなことばかり気にしてるから戦うことになっちゃうんですよ!」


旦那はアタシと、騎士はバッテンチビとユニゾンする。


「行きます!」
「来い!」


そして二人は空を翔けた。 
 

 
後書き
今回はここまでになります。


シグナムたちは間にちょいちょいはさんでいく形を取ろうと思っています。


今回のオリジナル魔法


“キャプチャーシュート”
本編中の説明の通りの効果。訓練中に士郎が銃弾の後ろにバインドを隠して仕掛けてきたときに思い付いたもの。バインドを銃弾に込めればもっと効果的なのでは?と言うティアナの思いつき。
ランスですら初見では捕まるほどの初見殺し。
消費魔力はバインド+αくらいだが打つのに少し時間がかかるのが難点。


“オーディーン”
手とストラーダの先端に魔力をためて投擲。
紫電をまき散らして進むため、着弾点以外にも効果を発揮する。
難点はストラーダの回収。飛距離は出るが、遠ければ遠いほど回収の際のリスクも高くなる。



と、こんな感じです。


それでは~ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧