金木犀の許嫁

「もう本当にすぐにです」
「風邪が治るのね」
「そうです、ですから」
「食欲があったら」
「カレーを食べて下さい」
「まずは朝ご飯食べましょう」
　真昼は妹に微笑んで話した。
「それからよ」
「朝ご飯食べて」
「そこで食欲があったらね」　
　そうであればというのだ。
「本当にカレー作るしそうでなかったら」
「食欲がなかったら」
「その時はね」
　あらためてだ、真昼は妹に話した。
「お粥にするしね」
「カレーかお粥か」
「それをね」
「朝ご飯で決めるのね」
「ええ、お腹の調子はどうかしら」
「特に何もないわ」
　朝起きてからを振り返ってだ、夜空は姉に答えた。
「別にね」
「それならカレーも安心ね」
「やっぱりお粥の方が消化にいいわよね」
「だからね。ただお粥よりも」
　真昼はこうも話した。
「雑炊の方がね」
「栄養あるわね」
「お粥はご飯だけだからね」
「雑炊みたいに何でも入れたら」
「お野菜とかね。その方がね」
「栄養あるわね」
「体調の悪い時こそ栄養を摂らないと」
　真昼は穏やかな顔であった、だが声は顔と同じ穏やかであってもそこに強いものがあった。その声で言うのだった。
「駄目だからね」
「それでなのね」
「お粥にしてもよ」
「雑炊の方がいいのね」
「ええ、けれどまずは」
「食べることね」
「それで食欲見るから」
　全てはそれからだと言ってだった。　
　真昼は夜空を佐京それに白華も入れて四人で朝食を摂った、そこで夜空を見るとご飯一膳を鮭の塩焼きと味噌汁と一緒に食べた。真昼はその妹を見て言った。
「食欲はあるわね」
「ええ」　
　夜空もそれはと答えた。
「いつも通り食べられたわ」
「なら問題なしね」
「カレー作ってくれるの」
「ええ、楽しみにしていてね」
「無理しないでね」
　夜空は自分の為にと言う姉に申し訳なさそうに答えた。
「別にね」
「いや、お互い様でしょ」
「困った時は」
「そう、だからね」
　それでというのだ。
「今日はね」
「ゆっくり休んで」
「そしてね」
　そのうえでというのだ。
「風邪を治してね」
「お薬飲んで」
　佐京はここでそうすべきと言った。
「しっかりと。そうして」
「寝るのね」
「それでお昼は」
「カレーね」
「今から作るから」
「じゃあ家事と手分けしてやりましょう」
　白華はこう言った。