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海の魚

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第二章

「既に考えてある」
「そうなの」
「池と海をつなげばいい」 
 こう言うのだった。
「それぞれの池から海まで溝を掘るのだ」
「そしてお池と海をつなぐ」
「溝を掘ればな」
 池と海の間にというのだ。
「両方から水が来てすぐにつながる」
「そうなるわね、お水は」
「池は大地にあるが」
「大地は海より高い場所にあるわね」
「だから池から海に水が注がれてな」
 溝を通ってというのだ。
「池と海がつながる、そしてだ」
「お池からお魚が入るわね」
「そうなるな、だからだ」
 この度はというのだ。
「これからは海にもだ」
「お魚がいて」
「海は面している場所も広いからな」
 海自体が広いだけあってというのだ。
「多くの者が釣れる、そしてだ」
「食べられるわね」
「そうなる、だからな」
「これからは」
「誰もが魚を食べられる」
 こう言うのだった。
「美味い魚をな」
「それで狭いお池に増え過ぎることもなくなるわね」
「そうなる、これでどうだ」
「いいと思うわ」
 ウルピワチャックは確かな顔と声で答えた。
「それで」
「そうだな、ではだ」
「これからは」
「皆で池でも海でもな」
「お魚を食べることね」
「そうする、そして堀った溝はだ」
 今はそちらも水に満ちている、そちらのことも言うのだった。
「川と名付けよう」
「そうするのね」
「そして川でもな」
「お魚がお池と海にいるなら」
「その二つをつなぐならな」
 そうであるならというのだ。
「当然だ」
「お魚がいるわね」
「そして食べられる、水があれば魚がいる」
「そうした状況になったわね」
「世界はさらによくなった、ではさらにだ」
 ヴィコラチャは笑顔で話した。
「世界をよくしていこう」
「創造神として」
「そうなる様にしていこう」
 笑顔で言ってだ、ヴィコラチャは創造神として働いていった。そして世界をよくしていったがその中にはこうした話もある。インカに伝わる古い話である。


海の魚   完


                    2023・11・13 
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