夏休みの宿題

　　　　　　　　　　　　　　　　夏休みの宿題
　同じ理工学部で同学年の中島直実が自分達より年下の女子生徒の家庭教師をしていると聞いてだった。
　紅林信介は嫉妬した、そして中島本人に言った。
「お前女子校生の家庭教師してるんだよな」
「それがどうしたんだよ」　
　これが中島の返事だった、色白で黒髪を真ん中で分けて小さな目で眼鏡をかけている。卵型の顔で背は一七〇位で痩せている。
「紅林に関係あるか？」
「大ありだよ、俺今彼女いないんだぞ」
　紅林は強い声で言った。長方形の顔で鉤爪型の眉で二重の切れ長の目である。鳥の巣の様な黒髪で背は一七四位で痩せている。歯が奇麗だ。
「しかもここ理工学部だぞ」
「女の子いないね」
「女の子に餓えてるんだよ」
　紅林は正直に言った。
「それなのにお前は」
「あの、お前ロリペドじゃないよな」
　中島は紅林に冷めた目で返した。
「だったら警察に通報するぞ」
「俺は高校生からだよ」
　紅林は即座に答えた、講義がはじまる前の教室の中でそうした。
「アイドルだってな」
「中学生だとか」
「ストライクじゃないんだよ」
「じゃあジュニアイドルはか」
「全然興味ないよ、子供はな」
「どうせお前紹介しろって言うつもりだったんだろ」
　中島はここでも冷めた目で問うた。
「そうだろ」
「ああ、そうだよ」
　紅林はここでも正直だった。
「決まってるだろ」
「そうだよな、けれどな」
「それでもか」
「高校生からな」
　こう中島に言うのだった。
「宜しくな」
「俺教えてるの小学生だよ」
　中島の目がこれ以上はないまでに冷めたものになった、そのうえでの言葉だ。
「それも一年生だよ」
「小学生かよ」
「そうだよ、そっちになったんだよ」
「何だ、子供も子供だな」
　紅林も冷静になって応えた。
「それじゃあいいよ」
「そうだよな、俺もリクルートスーツ萌えだからな」
「お前はそっちか」
「二十代前半の人が好きなんだよ」
「俺達よりちょっと上な感じか」
「ああ、だからな」
　それでというのだ。
「俺だってな」
「教えてる娘に何も感じないか」
「一切な、ちなみにお母さんにもな」
　教えている娘のというのだ。
「外国の人でブロンドの凄い美人さんだけれどな」
「ストライクゾーンじゃないか」
「言っただろ、俺はな」
「リクルートスーツの人だな」
「それでＯＬさん、しかも真面目にな」
「お付き合いしたいんだな」
「そうだよ、だから不倫もな」
　母親イコール人妻という認識で話した。
「しないさ、奥さんも旦那さん一筋だし旦那さんもな」
「奥さん一筋か」
「そうだよ、だからな」
「バイト先ではか」
「俺は何もなくな」
「真面目に勉強教えてるんだな」
「そうだよ、だからお前もな」
　紅林に対して言った。