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ドリトル先生と不思議な自衛官

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第八幕その十二

「僕が見てもね」
「似ていないんだね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「これがね」
「そうなんだね」
「明治帝もあのお写真のイメージが強いけれど」
 またこの方のお話をするのでした。
「けれどね」
「それでもだね」
「お歳を召された時ではないかっていうお写真があるけれど」
「お歳を召されていて」
「お髭も長くなっていてね」
 そうしてというのです。
「太ってもおられていたよ」
「そうなんだね」
「やっぱりね」
「お歳は召されるね」
「どうしても写真や肖像画のイメージはね」
「歴史上の人は強いね」
「けれど若い時もあれば」
 それと共にというのです。
「お歳を召された時もあって」
「似ていないこともだね」
「あるからね」
「そこは面白いね」
「中国の明の太祖さんなんてね」
「朱元璋さんだね」
「肖像画二種類あるからね」
 このことをお話するのでした。
「あの人は」
「確か本来のお顔を描いたものと」
「そう、整えて描いたもののね」
「二種類があるね」
「それでその肖像画を見たら」
「どちらかをだね」
「見た方のイメージでね」 
 それでというのです。
「太祖さんのお顔を思うね」
「そうだね」
「だから太祖さんは整った方を中国全土に送ったんだ」
「本来のお顔の方じゃなくて」
「そうしたんだよ、そのことからもわかる通り」
「肖像画や写真はその人の外見へのイメージを決定するね」
「どれだけお年寄りになっても」
 そうなってもというのです。
「若い頃の肖像画や写真だけを見るとね」
「赤い頃のイメージで連想するね」
「そして逆にね」
「お年寄りの時の肖像画や写真を見たら」
「そちらで連想するよ」
「だから僕も東郷さんイコール白いお髭だったんだね」
「もっと言えば軍服を着ているね」  
 先生は王子にこうも言いました。
「そうだね」
「うん、肖像画や写真でもそうだったからね」
「軍人さんだからね」
「そう思っていたけれど」
「やっぱりプライベートだとね」 
 その時はというのです。
「私服だよ」
「そうだね」
「そして若い頃は」
「お髭を生やしていなかったね」
「そしてその時の外見が」
 まさにそれがというのです。
「堀与さんそっくりなんだ」
「というと」
「まさかと思うね」
「僕もね」
「真相はどうか」
「わかればいいね」 
 王子もこう言います、先生達は今一つの謎に気付いてそれを前にするのでした。 
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